『キッド・ピストルズの冒涜』/山口雅也

12 17, 2005
4488416020キッド・ピストルズの冒涜―パンク=マザーグースの事件簿
山口 雅也
東京創元社 1997-02
自己評価

パンク族の怜悧で陰鬱な冥府神とも言うべきキッド・ピストルズと悪戯好きのニンフ、ピンク・ベラドンナが関わった四つの事件記録をまとめた第一短編集。そのどれにも英国の古い伝承童謡〈マザーグース〉の一節が、あたかもライトモティーフの如く不気味に谺していた! 世界初の試みと思われるマザーグース・ミステリ連作シリーズ第一弾。
『生ける屍の死』よりもスリム化されて読みやすくなった。この作家は長編よりも短編のほうが合っていると思う。決して文章が巧いという意味ではなく、“本格ミステリのツボ”の押さえ方が短編向きのように思うだけ。ミステリ作家というのはミステリ・マニアでもある。それが作品に顕著に表れる作家とそうでない作家がいる。山口氏の場合は完全に後者だ。

「パラレル・ワールド」という特異な世界、マザーグースをベースにしたストーリー、これらはミステリ・マニアの“ご都合主義”のように映ってあまり好きにはなれない。しかし、細かい伏線を丁寧に拾い上げるラストはマニアらしい気配り(?)を感じさせ、綿密なプロットが浮かび上がるさまに好印象をもって読了した。
2 Comments
Cozy12.17.2005 URL [edit] 

まさやんの評価が上がったようでなによりなにより。

“ご都合主義”っていうまさやんの型は僕は大好きです。古典的ミステリをやりたい放題できる舞台で、ミステリマニアをアピールするっていうストレートさが大好きです。

次は山口雅也のもう一つの型を見せている『日本殺人事件』を是非。

がる@管理人12.17.2005 URL [edit] 

マニアぶりをアピールする場合は小出しがよい。
読みながら、ストーリーと全然関係ないところでにんまりするような…。
テーマにしても、「これってひょっとしてマザーグース?」ってな感じで後から気付くようなのが好みです。
小出しでちらちらチラリズム (゚Д゚) ハア??

『日本海~』も読みたいのですが、なんせ読書予定がてんこ盛りで…。

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