『刺青殺人事件』/高木 彬光 

Posted at 2006/03/29
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4594034039初稿・刺青殺人事件―昭和ミステリ秘宝
高木 彬光
扶桑社 2002-11

密室の中で発見されたバラバラ死体には、胴体がなかった! 悪魔の考案した大トリックに白皙の法医学者・神津恭介が挑む。江戸川乱歩の推薦で出版された『宝石選書・刺青殺人事件』は、探偵小説界にセンセーションを巻き起こし、雑誌としては異例の増刷を重ねた。著者は後にこの作品に大改稿を施し、倍以上の分量にスケールアップさせているが、本書には処女作特有の熱気があふれるオリジナル版を収録。他に、名作の誉れ高い犯人当て「妖婦の宿」等、五篇を併せて収める名探偵・神津恭介シリーズ初期傑作選集。
改稿版が未読なのでなんとも言えないが、オリジナル版だけで充分面白い。分量が増えると、ゆるゆるの展開を危惧してしまう。『処女作にはその作家の全てがつまっている』とはよく言ったものだと思う。なるほど。本作品の後で『人形はなぜ殺される』を読むと、この作家をリピートしたくなるのは本格ファンなら自然な流れか? しかし読み終えてみるに、密室トリックや真犯人など、必ずしも拍手喝采というわけにはいかない。そもそも密室トリックは前菜のようなもので、メーンディッシュがその後に控えているのだが…。そのメーンディッシュにしても、じっくり食してみれば美味とは言えないのかもしれない。実に地味で綱渡り的な要素を含んでいる。にも関わらずここまで面白く感じたのは、刺青という妖気的なムードが作品全体をねっとりと包んでいるからなのだろう。似たようなオチはいくつかあるが、本作品はまさにコロンブスの卵。それを処女作品でやってのけた作者にはやはり拍手を送ろう。なお、『この後、すごいことが起こりますよ、お楽しみに』という触れ込みを作者は多用するが、悲しいかな、この手の宣伝に私は極めて弱いのだ。

採点
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Comment

ジーツー
at 2006/04/01/ 01:17 | URL | EDIT
密室にバラバラって、そそりますねー。
うーん、そのうち読もっと。
がる@管理人
at 2006/04/01/ 09:08 | URL | EDIT
バラバラが通常のバラバラではなく、胴体だけ消えてるから面白い。
動機はあまり重要視しないのですが、
連城さんみたいな内面をえぐる心理描写であったなら言うことなしでしょう。
sherlock
at 2006/04/01/ 20:40 | URL | EDIT
読んだ覚えはあるんですが・・・どんなトリックだか忘れてしまったなぁ・・・。それはそれでもう一度楽しめる(さすがに途中で思い出すだろうけど)からいいか。時間があったら再読してみます。
ちなみに『人形はなぜ殺される』は大好きです。
がる@管理人
at 2006/04/02/ 21:34 | URL | EDIT
トリック自体は大したことないですよ。
それよりも、刺青の持つ、独特の妖気さがよかったですね〜
私も、『人形〜』の方がお気に入りです。でも高木さんは何を読んでも気に入りそうです☆
sherlock
at 2006/04/04/ 19:03 | URL | EDIT
一時期、はまってたので結構読んでたんですけど、『わが一校時代の思い出』とか『能面殺人事件』(『グリーン家殺人事件』のネタバレあり)とか『白昼の死角』(本格ではない)とかは面白かったですよ。
がる@管理人
at 2006/04/05/ 09:34 | URL | EDIT
結構読みやすいですよねー
怪奇的な雰囲気でも着地点は本格なので安心して読めます。
『白昼の死角』って聞いたことあります。また読んでみよっかなー

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