『あなたに不利な証拠として』/ローリー・リン ドラモンド

06 03, 2006
4150017832あなたに不利な証拠として
ローリー・リン・ドラモンド
早川書房 2006-02
自己評価
  • 第一位『このミステリーがすごい!』(2007)

警官を志望する若きキャシーがマージョリーと出会ったとき、彼女の胸にはステーキナイフが深々と突き刺さっていた。何者かが彼女を刺しレイプしたのだ。怯え、傷ついた彼女を慰めるキャシー。だが捜査を担当したロビロ刑事は、事件を彼女の自作自演と断じる。マージョリーに友情めいた気持ちを抱いていたキャシーだったが、どうすることも出来なかった。それから六年後、キャシーとマージョリー、そしてロビロの運命が再び交わるまでは…。MWA賞最優秀短篇賞受賞の「傷痕」をはじめ、男性社会の警察機構で生きる女性たちを描く十篇を収録。
『十年に一人の逸材』『ポケミスとしては百万年ぶりの快挙』という賞賛の嵐だが、私にとってはただの過剰広告に過ぎなかった。

確かに文章は巧い。筆致が感情的になったり冷酷になることはなく、どこまでも控えめでおとなしい。それでいて上品さを失わない。キャラの内面描写も無駄なく隙なく、自然とスムーズに読者を型にはめるタイプ。なぜか連城三紀彦を連想してしまった。

主人公はみな女性警察官。作者の前職でもあり、その辺りの細かい描写にはリアリティが溢れている。がしかし、やはりこの作品はミステリではない。事件は数ページに一件の割合で登場する。なんせ舞台が警察なのだから…。しかしそこに謎はなく、警察官の人となりを語る上でのエピソードのひとつに過ぎない。

また、人物描写は巧いと思うが書き分けには異議を唱えざるを得ない。どの女性も同一人物にしか思えないのだ。これならモデルは作者だろうと指摘されても仕方ないと思う。挙げ句の果ては自伝小説か?と深読みする始末。今後、警察を離れた舞台でどこまで書ききれるかが、この作家に対する評価の対象になるのだろう。
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Karmaなミステリ読書ブログ03.20.2013

警察学校の訓練フィルムや教官は、安全で快適な教室にいる生徒にこう教える。一つ命令をするたびに「今すぐだ!」とつけ加えろと。しかし現実にはそんな時間はない。相手が反応する...

*モナミ*01.31.2007

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びぶりおふぃりあ07.09.2006

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