『銃とチョコレート』/乙一

06 03, 2006
406270580X銃とチョコレート
乙一
講談社 2006-05-31
自己評価
  • 第五位『このミステリーがすごい!』(2007)

少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。
まだ折り返し地点だが、今年のベストワンは本作品じゃなかろうかと断定しそうになる。少年少女向けのミステリ・シリーズ。その意図から考えると、この作家なら絶対に的を外さないという予感めいたものがあった。

彼のいいところは善悪のボーダーラインが極めて曖昧なこと。そうすることによって話全体にゆるい緊張感が生まれ、ストーリー展開に鋭さとキレが加わる。少年が主人公ならなおのことよろしい。完璧にやられた。グイグイと力強く引っ張られる展開の中に、軽度の伏線がきちんとはめ込んである。それも短時間で勝負してくれるので、伏線にじらされてストレスを感じることはない。がしかし、大事なものは最後に取っておく“お約束”は忘れていない。

淡白な筆致の間から、魅力的なキャラを想像するには余りあるイメージが滲み出し、個々の人物が生き生きして見えた。個人的には、ドゥバイヨルの罵声の豊富なバリエーションを気に入っている。満点をつけても差し支えないが、『子供向けのシリーズで満点とはいかがなものか』と主張する見栄張りな人格がうるさいので、あえて一点引いておく。
2 Comments
KORO07.16.2006 URL [edit] 

確かに乙一さんの作品はもともとこっち路線でしたから、間違いはなさそうでしたけど、ホント、面白かったですよね。展開もはやく、私も大満足の一冊です。

がる@管理人07.18.2006 URL [edit] 

KOROさん、こんにちは~
『銃チョコ』はあちこちで評判いいみたいですね。
キャラ名も凝ってるし、乙一さん自身が楽しんで書いたような気がします。
久々のヒット作でした☆

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4 Trackbacks
Karmaなミステリ読書ブログ03.20.2013

しゅっ、とつぶが出て、ぱんっ、と人生がおわる。とてもかんたんだ。チョコレートが口の中でとけるよりもはやくものごとをすませられるのだ。 『銃とチョコレート』(乙一) pp.196 ...

本を読んだら・・・by ゆうき07.21.2006

銃とチョコレート乙一 講談社 2006-05-31久しぶりの、乙一さん。今回は、うちの市の図書館では児童文学の棚にはもちろん、YAコーナーにもおいてもらえず、普通に大人向けの小説の棚に置かれている、「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」です

読むなび!(裏)07.16.2006

≪採点(読むなび!参照)≫合計:95点 採点内訳へ≪梗概≫名探偵ロイズはぼくらのヒーロー!はたして名探偵ロイズは、怪盗ゴディバをつかまえることができるのか!?少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石

読書とジャンプ06.13.2006

最近はもっぱら映画製作に嵌っているという噂の乙一の待ちに待った新作は       「かつて子どもだったあなたと少年少女のための-ミステリーランド」。期待に違わず、面白かったです!☆(≧▽≦)☆   登場人物が全部チョコレート絡みなんですが、ぶっちゃけ、..

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