『乱鴉の島』/有栖川有栖

06 25, 2006
4104308021乱鴉の島
有栖川 有栖
新潮社 2006-06-21
自己評価
  • 第一位『本格ミステリ・ベスト10』(2007)

友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた火村は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまう。通称・烏島と呼ばれるそこは、その名の通り、数多の烏が乱舞する絶海の孤島だった。集まり来る人々。癖のある住人。奇怪な殺人事件。精緻なロジックの導き出す、エレガントかつアクロバティックな結末。これぞ本格!
全体的に面白かったが、理屈っぽいという後味の悪さも残った。事件そのものに新しい試みはなされておらず、事件背景に重点が置かれてある。しかし、その背景を魅力的と思えるような人物描写が無きに等しい。そもそも人物描写を要求されるような作者ではない。なので、なぜこの材料で勝負する気になったのか少々理解に苦しんだ。いくつかの引用文が出てくるが、私には逆効果だった。作者の書きたいことを読者にすり込むための姑息な手段に思えてしまう。舞台設定や全体の雰囲気はいいのに、なにかが微妙にズレて、ちぐはぐな印象だけが強調されているような気がして残念でならない。純粋な本格ミステリに出会う機会がめっきり減った昨今、この作家に多大な期待を寄せてしまうのは心苦しいのだが、やはりトリックで正々堂々と勝負してほしいと思う。
4 Comments
しゃーろっく06.29.2006 URL [edit] 

うーん。好みの問題なんですけど、トリックなしでロジックのみなところを僕は評価しています。トリックなしでミステリを書ける作家さんは有栖川と山口雅也(といっても最近のは読んでないので初期作品の話ですが)ぐらいだと思うので。

がる@管理人06.29.2006 URL [edit] 

評価なんて人それぞれですもんねぇ。私のは特に見方が偏ってるし(笑)
アリスの場合は、結末から逆算して考える――
その違和感のない爽やかなロジックがお気に入りなんですけど、
どうも今回はこじつけに見えてしまいました。
最近の国内ミステリで「面白い!」と思えたのは『容疑者Xの献身』くらいでしょうか。
年々、現代国内ミステリを受け付けない体質になってるようです_| ̄|○

しゃーろっく06.30.2006 URL [edit] 

まぁたしかにちょっと強引な気もしました。

『容疑者X』は読了直後は評価が微妙だったけど、最近やっぱ凄いなと再評価。
僕も最近ので凄いなと思ったのはあんまりないです。

がる@管理人06.30.2006 URL [edit] 

東野さんって、いい意味で個性がないんですよね。
だから何を書いてもそれらしく読めるというか…。
本格、社会派etc、いろんな引き出しをお持ちですが、
読者も過度なリクエストをしないから、裏切られるってこともないし。
でも、こってりした本格を読みたいんですよね~

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