『真夜中の意匠』/斎藤 栄

07 27, 2006
4087497704真夜中の意匠
斎藤 栄
集英社 1991-12
自己評価

岡弘が絞殺された。発見者は弘の継母、久子。父、一夫はがんセンターに入院中で余命幾ばくもない。ちょうど岡家代々の土地がニュータウン計画に莫大な金額で買収されることが決まった時であり、遺産相続がらみの殺人との観点で捜査が始まった。もっとも有力な容疑者は弘の叔父の京一郎だが、彼には鉄壁のアリバイがある……。幾重にも連なるアリバイの巧妙さで、推理小説界に反響を巻き起こした傑作長編。
可もなく不可もないといった感じでさくっと読める。早い段階で容疑者は絞られるのだが、もう少し迷走してもよかったのでは? 

アリバイ崩しの導入部分は身構えて読んでいたが、二転三転する証言に、そのうちだんだん可笑しくなってきた。作者は一体なにを仕掛けているのだろう――ドタバタ喜劇のような捜査を繰り返したあとにいきなり真相がやってくる。

予想していた範囲内のトリックではあったが、応用次第で面白く変化するものだとしばし感心。が、残念ながら、証言を何度も翻す価値のあるトリックだとは思えない。謎に対するスタンスがあまりにもストレートすぎるし、狼少年的な容疑者に慣れてきた読者は早々と真相を見破るかもしれない。でも、乱歩の「類別トリック集成」に加えられているように、独創的なトリックではあると思う。
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ミステリー館へようこそ02.08.2007

斎藤栄斎藤 栄(さいとう さかえ、1933年1月14日-)は日本の推理小説家。東京大田生まれ。東京大学法学部卒。神奈川県立湘南高等学校在学時に、石原慎太郎らと共に同人誌『湘南文芸』を発行。横浜市役所勤務を経て、『星の上の殺人』が「宝石」に掲載。『愛と血の復活』が江

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