『盲目の鴉』/土屋隆夫

11 24, 2006
433473457X盲目の鴉 千草検事シリーズ
土屋 隆夫
光文社 2003-03-12
自己評価

評論家・真木英介が小諸駅頭から姿を消した。数日後、千曲川河畔で真木の小指の入った背広と“鴉”の文字が見える紙片が発見された。一方、世田谷の喫茶店では、劇作家志望の水戸大助が「白い鴉」と言い遺して死んだ。何者かに毒殺されたのだ。二つの事件の間を飛び交う「鴉」に繋がりはあるのか? 千草検事の推理が真相を抉る傑作文芸ミステリ。
読み応えがあった。序盤から心地よい陶酔感があり、途中で我に返ると物語の中にどっぷりと浸かっていた。事件関係者のそれぞれの背景が根底にねっとりとまとわりつき、それが作品全体を支えている。登場人物の心の闇を浮き彫りにするというのは「社会派」のイメージだけれども、本作品は間違いなく「本格」。鍵となる人物や、小さな手がかりから拡がっていく推理のプロセスは、容赦のない本格そのもの。「ミステリ」ではなく「ミステリ“小説”」──読者が飽きない程度にエピソードやシーンを深く掘り下げ、奥行きのある展開へと持っていける筆力の持ち主。
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