『危険な童話』/土屋隆夫

11 29, 2006
4488428029危険な童話・影の告発―土屋隆夫推理小説集成〈2〉
土屋 隆夫
東京創元社 2000-09
自己評価

仮釈放され刑務所から出てきた須賀俊二は、ピアノ教師木崎江津子の家で殺された。発見者である江津子が容疑者として逮捕された。被害者の体に残った痕跡から、兇器は片刃のナイフと推定されたが、その物証がどうしても発見できない。焦る捜査陣をあざ笑うかのように、一枚の葉書が届けられた―。論理とロマンチシズムが鮮やかに結合した推理小説。
魅力的なミステリ小説というのは、作中の犯人が極めて利口だ。本作品も例外ではなく、犯人の緻密な計画には脱帽する。幾重にも張り巡らされた防壁──そのひとつを打ち崩しても、次の壁が絶対な存在となって立ちはだかってくる。積み木を壊すように、一気に解決とはいかない。四方八方からじわじわと攻めるしかないのだ。突破口は、ある刑事の執念から徐々に開いてくる。同じ作業の繰り返しだが、それでも、確実に犯人に迫っていくそのプロセスが面白い。トリックには多少の理屈っぽさを感じるが、殺意を取り囲む“原因”と“結果”には、またもや納得させられた。筆力に秀でた作家はずるいなぁ、と歯軋りする今日この頃。
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