『見えない精霊』/林 泰広

04 13, 2007
4334074669The unseen 見えない精霊
林 泰広
光文社 2002-04
評価

インドの森の奥深く、僕の目の前の老婆は突然語り始めた。その声と言葉は、自らの不可能な死を語るカメラマン「ウィザード」のものだった。飛行船の闇の中、彼に死を与えるために来た美しい少女と、見えることしか信じない彼の戦いが始まる。彼の武器は鋭利な頭脳、巧妙な論理の罠。だが、彼の罠を次々に突き破る少女の論理と見えない精霊の力。大胆に読者に突きつけられる質問状、あなたは解けるか?
一気に読んだあとで眩暈がした。これだけ報われぬ疲労感に襲われるミステリも珍しい。

舞台設定があまりにも異様なのですぐに引きずり込まれたが、途中から感じたイライラとムカムカは最後まで治まることがなかった。その理由に思い当たらなかったが、“読者への挑戦”を読んで気が付いた。馬鹿丁寧に同じことを何度も説明しているが、悲しいかな、不明瞭すぎて全く説明になっていないのである。飛行船の構造や事件現場についての理解は早々に諦めた。思うに、導入部分と“読者への挑戦”だけ読めばコトは足りるのではなかろうか。

ウィザードの論理はそれらしく聞こえるが、屁理屈をこね回しているだけで見苦しい。屁理屈といえば、本作品全体がその様に思えるのは私だけだろうか? 手掛かりをこと細かく読者に開示したことがかえって仇になったような……。目的に到達するにはかなりの根気を要する。
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