『狂人の部屋』/ポール・アルテ

08 05, 2007
4150018014狂人の部屋
ポール・アルテ
早川書房 2007-06
自己評価
  • 第一位『本格ミステリ・ベスト10』(2008)
  • 第三位『ミステリが読みたい!』(2008)
  • 第七位『このミステリーがすごい!』(2008)

ハットン荘のその部屋には、忌まわしい過去があった。百年ほど前、部屋に引きこもっていた文学青年が怪死したのだ。死因はまったくの不明。奇怪なことに、部屋の絨毯は水でぐっしょりと濡れていた……以来、あかずの間となっていた部屋を現在の当主ハリスが開いた途端に、怪事が屋敷に襲いかかった。ハリスが不可解な状況のもとで部屋の窓から墜落死し、その直後に部屋の中を見た彼の妻が卒倒したのだ。しかも、部屋の絨毯は百年前と同じように濡れていた。はたして部屋で何が起きたのか? さすがのツイスト博士も困惑する、奇々怪々の難事件。
ジョン・ディクスン・カーを連想させる作家。全編を縁取る怪奇趣味、謎解きへのプロセス、さらにはキャラの雰囲気から読みやすさまで、“カー色”に溢れているが、決して猿真似というわけではない。むしろ、作品全体の統一感という点では本家に勝るのではなかろうか。これだけガチガチの本格で勝負されると、読むほうも無意味に身構えそうになるのだが、その辺を軽妙な筆致でうまく逸らしてくれるため、ラストまでいいテンポを持続したまま読み終えることができた。難を言えば、事件そのものが少し小ぶりの割りに、それ以上の展開を書こうとして無駄なシーンが目立つことだろうか。トリックは平均レベルだが、舞台設定や構成が巧みなので、それ以上の効果を感じてしまう。自己プロデュースの上手い作家だと思った。
0 Comments
Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
0 Trackbacks
Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS