『女王国の城』/有栖川有栖 

Posted at 2007/10/13
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4488012272女王国の城
有栖川 有栖
東京創元社 2007-09

舞台は、急成長の途上にある宗教団体の聖地、神倉。大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。
ストレートな本格ミステリに飢えている読者にとっては、満腹感を呼び込んでくれる一冊だろう。久々の学生アリスシリーズはやっぱり「爽やか」。イントロが長くてイライラしても「爽やか」。相変わらず人物は書けてないけど「爽やか」。

新興宗教の国──この、どう考えても作者のご都合主義に見えてしまう胡散臭いファンタジー・ワールドを舞台に設定したのには驚いた。しかも軟禁状態を強いられるアリスたち。“嵐の山荘”の方がまだ説得力があるのに、なぜこんな力技で読者をねじ伏せるのだろうと不審に思っていたら、最後の最後で納得がいった。

お約束の「読者への挑戦」を経て、謎解きシーンへと流れていくのだが、ここに到達するまでが恐ろしく長い。無駄とも思えるエピソードや、どうでもいいペダントリーでページ数を水増しするのはけしからん、と立腹するのは私だけ?

江神の推理プロセスは、作者が好んで使う「エレガントさ」という点においては、レベルの高さを認めないわけにはゆかない。ただ、そのトリック自体は残念ながら、ガツンと響く類のモノではなかった。いくつかのトリックを組み合わせて、結果的には大きな一枚岩を形成してはいるが、元はと言えば小粒で荒削りな岩石に過ぎないのだ。

二段組にせず、贅肉を落としてスピード感を強調した方が、より満足のいく読書時間になったはず。クイーンばりの本格ミステリを書ける作家は、日本にあと何人残っているのだろう。学生アリスシリーズの完結作に期待するのは、終始本格に支配されたいということ。それだけ。

評価
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Comment

ジーツー
at 2007/10/15/ 18:49 | URL | EDIT
あー、学生アリスの新作がやっと出たんだね。
でもあんまり傑作じゃないみたいだから、3年待ちでいっか。

人物が描けてないようなことは僕も感じてました。大阪弁なだけだよね、と。
がる@管理人
at 2007/10/15/ 20:33 | URL | EDIT
お久しぶり。
3年待ちって長すぎない?(笑) 巷の評判はいいみたいですよ。
某掲示板では、「警官の血」と並んで年末ランキング予想のトップ争いしてるし。

大阪弁で誤魔化すのはいい加減飽きたよー
やっぱ短編の方が面白いような気がするなあ。
ジーツー
at 2007/10/18/ 18:06 | URL | EDIT
さらに辛抱強く待って、文庫が古本屋に並んでくれるまで粘るかもしれない。
がる@管理人
at 2007/10/19/ 20:44 | URL | EDIT
それまで待ってもシリーズ完結作の方が遅いんだろうなー
作者が生きてるうちに発表できるのだろうか。。。

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