『TOKYO YEAR ZERO』/デイヴィッド・ピース
![]() | TOKYO YEAR ZERO デイヴィッド・ピース 文藝春秋 2007-10-11 |
1945年8月15日―─東京、品川の軍需工場で女性の腐乱死体が発見された。そして一年後に発見される第二、第三の死体…敗戦を機に解き放たれた殺人鬼、そいつは何者なのか? それを追う警察もまた、その内部に大いなる秘密を隠し―─実在の連続殺人鬼・小平義雄の事件をモチーフに現代イギリス文学の旗手デイヴィッド・ピースが描く日本の「占領」とその闇。戦慄の超大作“東京三部作”開幕。
読了までには多くの忍耐力を必要とする。なにせ文体が壊れているのだ。普通にさくさくと読めるわけがない。映画のフラッシュバックを思わせる“意識の流れ”が、あちらこちらに埋め込まれているのだが、これが鬱陶しくてイライラした。結局最後まで慣れることはできず、この太字部分を避けて読むという無駄な作業に終始する羽目になった。
それでも予想以上に早く読めたのは、舞台設定が作者の筆致とよく合ったからだろう。そこら中に狂気を含んだ終戦直後の東京の描写は、素晴らしいと思う。そこに、起こるべくして起こった「小平事件」を軸にすることで、混乱と絶望がない交ぜになった作品のインパクトはより強大になる。
壊れた文体、破滅寸前の主人公等、ガタガタの道を運転してきてようやくゴールに辿り着く自信が持てた頃、ある仕掛けに気付く。が、悲しいかな、私にとっては不発のまま終わってしまった。解説を読んで理解できたものの、サプライズだと実感できるような余力はどこにも残っていなかった。それくらい疲れる一冊なのである。

それでも予想以上に早く読めたのは、舞台設定が作者の筆致とよく合ったからだろう。そこら中に狂気を含んだ終戦直後の東京の描写は、素晴らしいと思う。そこに、起こるべくして起こった「小平事件」を軸にすることで、混乱と絶望がない交ぜになった作品のインパクトはより強大になる。
壊れた文体、破滅寸前の主人公等、ガタガタの道を運転してきてようやくゴールに辿り着く自信が持てた頃、ある仕掛けに気付く。が、悲しいかな、私にとっては不発のまま終わってしまった。解説を読んで理解できたものの、サプライズだと実感できるような余力はどこにも残っていなかった。それくらい疲れる一冊なのである。

Comment
Cozy
at 2007/12/26/ 13:30 | URL | EDIT
読みました。
最後の仕掛けはあまり重要視しませんでした。やっぱり、終戦直後の荒廃した日本の描き方が、錯乱する思考が飛び交う1人称形式とマッチしていたなぁと思います。
3部作ということなので、続けて読む予定。2作目は、「帝銀事件」が舞台みたいですね。
最後の仕掛けはあまり重要視しませんでした。やっぱり、終戦直後の荒廃した日本の描き方が、錯乱する思考が飛び交う1人称形式とマッチしていたなぁと思います。
3部作ということなので、続けて読む予定。2作目は、「帝銀事件」が舞台みたいですね。
がる@管理人
at 2007/12/26/ 22:51 | URL | EDIT
読まれたんですね〜 お疲れ様でした(笑
仕掛けは別になくてもよかったんじゃないかと思います。
あ。でもそうすると全体の構成が崩れてくるのか…。
日英同時刊行だったらしいけど、次作もそうなるのかな?
仕掛けは別になくてもよかったんじゃないかと思います。
あ。でもそうすると全体の構成が崩れてくるのか…。
日英同時刊行だったらしいけど、次作もそうなるのかな?
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また吐いた。灰色の胆汁。これで四回、愛宕署の便所で... 〔2007/12/26/ 13:27 〕
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