『目くらましの道』/ヘニング・マンケル 

Posted at 2007/12/20
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目くらましの道 下
ヘニング・マンケル
東京創元社 2007-02-10

夏の休暇を楽しみに待つ、イースタ署のヴァランダー警部。そんな平和な夏のはじまりは、一本の電話でひっくり返された。呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。殺されたのは元法務大臣。背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。そして事件はこれだけでは終わらなかった。CWA賞受賞、スウェーデン警察小説の金字塔。
久しぶりの満点評価を嬉しく思う。読み終えた直後は拍手喝采。これほど読了するのが勿体無いと感じた作品もなく、ギリギリのスローペースを保って読書していた。

強烈な個性を放つ作品ではないが、内に秘めたる力強さは相当なもの。筆致は安定してブレることがないので、物語とじっくり向き合うことができる。端役に至るまでのキャラ造形は素晴らしく、主人公を通して作者の優しさが伝わってきた。日本とは手法が違うのだろうが、それでも警察捜査としての迫力を堪能するには充分すぎる。

社会情勢を絡ませたプロットは冴え渡っており、クライマックスではヴァランダー同様、痛みを伴った感覚に支配され、やりきれなくなった。最終章では涙が溢れた。長い物語を終えるにふさわしいエンディングだと思う。

「エド・マクベイン亡き後の、世界最高の警察小説の書き手」との評価には異論の余地がない。リアルタイムで読めることを幸せに思う。ちなみに、主人公と私は同じ誕生日である。他にも同じ誕生日の有名人はいるが、ヴァランダーと同じであることが一番嬉しいし光栄でもある。作者に対して異常な親近感を抱いてしまったので、リピート作家の最上位にランク付しておこう。

評価
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Comment

Cozy
at 2007/12/22/ 11:05 | URL | EDIT
面白いらしいですね〜。上下巻ってのと警察小説ってので、まだ手を出していなかったのですが、正月にでものんびり読んでみようかなぁ。
がる@管理人
at 2007/12/22/ 21:07 | URL | EDIT
すっごく良かったです! 是非是非読んでみてください☆
波長が合うって言うか、流れに任せていればいいっていう絶大な安心感があるんです。

「目くらまし〜」はシリーズ5作目なんですが、1,3,4と借りてきちゃいました。
作者が意外?にも渋くてカッコいいおじさまだったので余計ファンになりそ(笑
Cozy
at 2007/12/31/ 09:52 | URL | EDIT
読みましたよ〜。

もう重厚ですね〜♪ 殺人事件だけでなく、ヴァランダーの人間関係も完璧に描ききっていて、盛り込みすぎって感じの素晴らしい作品でした。ヴァランダーっち、頑張りすぎ。
がる@管理人
at 2007/12/31/ 15:48 | URL | EDIT
重厚なんだけど、どこかコミカルな感じもして、
その辺のバランスがすごく良かったと思います。

このシリーズって全九作で、とっくに完結してるんですよね〜
一年に一作は刊行してほしいなぁ……がんばれ、創元社!(笑
honyomi-world
at 2008/02/27/ 23:17 | URL | EDIT
いい作品で、無駄のないすっきりとした筋運びだと、思います。
『筆致は安定してブレることがないので、物語とじっくり向き合うことができる。』
おっしゃる通りです。
がる@管理人
at 2008/02/28/ 21:19 | URL | EDIT
honyomi-worldさん、はじめまして。
この作品は私にとって久々のスマッシュ・ヒットになりました☆
blogも少し拝見させていただきました。
ケネス・ブラナーがヴァランダーですか…。
彼はシェイクスピア作品のイメージが強すぎるので、全くピンとこないですね〜

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