『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』/ギルバート・アデア

02 13, 2008
4150018081ロジャー・マーガトロイドのしわざ
ギルバート・アデア
早川書房 2008-01-11
自己評価
  • 第五位『本格ミステリ・ベスト10』(2009)

1935年、英国ダートムーア。吹雪のため、人々はロジャー・フォルクス大佐の邸に閉じ込められた。大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募るなか、悲劇が起こる。密室状況で記者が殺害されたのだ。被害者のポケットには不可解なアルファベットが記された紙片が。やがてセイウチ髭のトラブショウ元警部が駆けつけ、大佐が重大な告白を始める。「私の本当の名はロジャー」……ミステリの枠を打ち破る超ミステリ。
どこをきっても黄金期の本格ミステリの要素しか出てこない。が、残念と言うべきか、本作品はクリスティへのオマージュ的内容になっているため、その出来栄えよりも雰囲気を楽しんだ方が読後感はずっと楽になると思う。スタートは好感が持てるし、事件へのアプローチ方法も段階を踏まえているのでごくごく自然。面白い作品だとは思うが、全体的に奥行きが浅いので、このネタで長編を支えるにはかなり苦しいかもしれない。元警部の到着後、なぜかストーリーが停滞する。クリスティを意識しすぎたのか、容疑者との駆け引きが空回りしてるように見え、冗舌なキャラにも飽きがくる。これを見越したように新たな局面を作る手腕は巧いと思うが、やはり型にはまりすぎているのが物足りないのだ。一番評価できるのはタイトルだろうか。
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