『人形が死んだ夜』/土屋隆夫

03 16, 2008
4334925839人形が死んだ夜
土屋 隆夫
光文社 2007-11-27
評価

ある雨の午後、温泉地に旅行に来ていた小学生・俊が写生の最中に轢き逃げされて死亡した。唯一の目撃者である男性に不審を抱く俊の叔母・紗江。自ら目撃者に近づき、男の嘘を暴こうとするが…。クライマックスは長野・望月地方に伝わる「榊祭り」の会場。荘厳な祭礼の流れに重なるように、物語は佳境へと導かれていく。
ヒロインが復讐するというシンプルなストーリーだが、この作家の手にかかると一筋縄ではいかなくなる。猪突猛進型の主人公にはあまり共感できないが、行動が素早いため、スピーディーな展開で進むのが有難い。残念ながら謎解き要素はさほどなく、不必要とも思えるシーンも多いので、全盛期を期待して読むとすさまじい肩透かしを食らうだろう。米寿で執筆を開始し、卒寿で本作品を刊行──なんといってもこれに尽きると思う。いったんは中断した執筆を再開させた作者の気力が行間から伝わってくる秀作。
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