『妃は船を沈める』/有栖川有栖

08 30, 2008
4334926185妃は船を沈める
有栖川有栖
光文社 2008-07-18
自己評価
  • 第七位『本格ミステリ・ベスト10』(2009)

所有者の願い事を3つだけ、かなえてくれる「猿の手」。“妃”と綽名される女と、彼女のまわりに集う男たち。危うく震える不穏な揺り篭に抱かれて、彼らの船はどこへ向かうのだろう。―─何を願って眠るのだろう。臨床犯罪学者・火村英生が挑む、倫理と論理が奇妙にねじれた難事件。
「はしがき」でいろいろ述べているが、作者の思惑通り、中篇二編を長編とみなして読んでくれる読者は少ないように思う。精力的に短編・中篇を発表してるのは評価するが、その反動なのか作品の質が落ちてきたような…。この状態で長編を書いても、読者が最後まで付き合ってくれるかどうか疑わしいものだ。

トリックで勝負するタイプなのに、肝心のそれがお粗末だからフォローのしようがない。そのくせ出来もしないキャラ造形に力を入れている。人物に喋らせるのは逆効果。意味不明な女刑事にスポットを当てたりと、作者の意図がよく判らない。火村・アリスコンビに無駄な変化を持たせるのは自殺行為。本作品のネタ元となった『猿の手』には興味を覚えたが、そこから出発した構想を読者にすり込もうとするのは如何なものか。
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