『虎の首』/ポール・アルテ

03 14, 2009
4150018200虎の首
ポール・アルテ
早川書房 2009-01-09
評価
  • 第三位『本格ミステリ・ベスト10』(2010)

休暇から戻ったツイスト博士を出迎えたのは、事件捜査で疲れきったハースト警部だった。郊外のレドンナム村で、次いでロンドンで、切断された女性の手足がスーツケースに詰められて発見されたのだ。事件に興味を抱いた博士だが、自分のスーツケースを開いたとたん、顔色が変わった。いっぽう、レドンナム村では奇怪な密室殺人が起きていた。インド帰りの元軍人が密室で殴殺されたのだ。怪奇と論理の華麗なる二重奏。
バラバラ死体と密室殺人。このネタだけで中篇ミステリが二作完成する。それをひとつの長編として世に送り出した作者の構成力には素直に感心せざるを得ない。トリックも特に目新しいわけではなく、犯人も推理可能。部分的には平均レベルなのだが、ひとつの作品として見たときの完成度がずば抜けているのだ。パズルのピースがレドンナム村へ集まり、そこで事件が始まり探偵が登場する──よくある事件のアプローチもアルテにかかると吸引力は倍増。繋ぎ目がなくシンプルでスムーズで飽きがこない。お馴染みの怪奇趣味やラストのプチ爆弾(?)など、スパイスの調合も完璧。似て非なるネタのコラボに成功した海外本格の秀作。
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