『風の時/狼の時』/天城 一

06 05, 2009
4535585601風の時/狼の時 (天城一傑作集 4)
天城 一
日本評論社 2009-04
自己評価:まあまあ

2007年に亡くなった、本格ミステリ大賞作家・天城一の傑作集。表題作をはじめとする長編2本と、未発表作品を含む短編12本を収録。自作解説、編者解題等も掲載。
長編ニ作と、ショートショートを含む短編集の盛り合わせ。一見お得な一冊に思えるが、中身は非常に手強く、場合によっては大変苦労する。

密室とアリバイトリックを用いた長編は、トリック・展開ともに高レベル。だが、なにかにつけて本筋を逸れるため、常に事件の経過を把握しておかないとストーリーから落伍する危険性がある。この寄り道とも言える過去のエピソードがくどく、戦時中の思い出話ばかりなのでとっつき難い。また、時系列にも不安定さがあるので、過去と現在の事件が混合している場面も見られる。

本格に対するスタンスはフェアだし、硬派で丁寧な筆致も好みではあるだけに、千鳥足のようなフラフラした流れが勿体ない。事件だけに焦点を合わせれば、鮎川哲也に匹敵するほどの書き手になれただろうに、つくづく残念に思う。
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