『目線』/天野節子

08 01, 2009
4344016998目線
天野節子
幻冬舎 2009-06
自己評価

閑静な高級住宅街に佇む堂島邸には、主人である新之助の誕生祝いのため、家族や友人ら11人が集っていた。だが、「めでたい発表がある」と言っていた新之助は、自室のベランダから飛び降り、亡くなってしまう。その死は自殺として処理されたが、飛び降りる直前に掛かってきた電話の内容は誰にも分からなかった。そして初七日。哀しみに沈む堂島邸で新たな犠牲者が出る。謎に包まれた事件の真相を究明するべく、3人の刑事が独自の捜査を開始した。
ラストの謎解きで評価は上がったが、それでも全体的にちぐはぐな印象。ページの水増しが足を引っ張り、どこをどう読んでも、“残念な”という形容詞がついて回る。もっとフォントを大きくすればこれだけの無駄な記述は避けられたろうに、半分は出版社の責任かな。

序盤のストーリーはいたって平凡。というより退屈の部類に入るだろう。なんの魅力もない上流階級一家のキャラクター紹介を延々読まされている感じ。途中で警察が介入するが、この刑事三人組もパッとしない。キャラのひとりを最初から探偵役に見立てて、コージースタイルで展開した方がよかったのではないか。

我慢の読書を続けていると、見落としそうなくらい地味に仕込まれたサプライズに遭遇する。ここで一気に空気が変わる。無駄な記述に張られた数々の伏線。読み返してみると確かにフェアだ。ルール違反ではない。タイトルの意味にも気付き、いろんなものに「ああ、なるほど」と納得させられる。ただ序盤に受けたダメージが大きいので、完全には復旧できなかった。余計なお世話だが、時代設定をもっと古くしてはどうだろうか。作品から伝わってくる匂いが現代のものではなさそうだ。
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