『新参者』/東野 圭吾

10 22, 2009
4062157713新参者
東野 圭吾
講談社 2009-09-18
自己評価
  • 第一位『このミステリーがすごい!』(2010)
  • 第一位『週刊文春ミステリーベスト10』(2009)
  • 第五位『本格ミステリ・ベスト10』(2010)
  • 第五位『ミステリが読みたい!』(2010)

日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。
動機の見えない殺人事件を縦糸に、手掛かりに関わる人たちの人情劇を横糸にして描いた連作短編作品。

短編はそれ自体が独立したひとつのストーリーとなっている。家族であったり、師匠と弟子であったりと、さりげない伏線を利用して、それぞれの関係を心温まるいい距離感へと導いている。加賀の捜査と共に各話は微妙にリンクしており、時系列で並べてみるのも面白いかもしれない。

これらの短編を繋ぎ合わせて浮かび上がるのが事件の真相である。この頃には読者は被害者について多くの知識を得ているのだが、被害者側に偏るのではなく、どの人物もどのエピソードも同じ比重で書かれてあるのが東野作品らしいと思う。普遍的な日常に潜む殺意。必要最小限のシンプルな表現だからこそ、その残酷さが後々効いてくるのだろう。

手法や構成に注目しても面白いとは思うが、『吉原手引草』と似たような部分を感じてしまったのが残念なところ。でも、作者の試みは充分理解できた。フィニッシング・ストレートが憎らしいほど巧い。
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