『毒蛇の園』/ ジャック・カーリィ

11 23, 2009
416770577X毒蛇の園
ジャック・カーリィ
文藝春秋 2009-08-04
自己評価

惨殺された女性記者。酒場で殺された医師。刑務所で毒殺された受刑者。刑事カーソンの前に積み重なる死―─それらをつなぐ壮大・緻密な犯罪計画とは? 意外な犯人と周到な伏線と仕掛けがミステリ・ファンを3たび唸らせる快作。
法月氏が解説で、“「『百番目の男』は色物の一発ネタだし、どうせすぐに消える作家だろ」との認識をお持ちならすぐに改めるべき”と指摘されていたが、本作品を読んで、いや序盤からもうすでに、私のジャック・カーリィに対する前出の認識は改められてしまった。

イメージやあらすじはいかにもB級なのだが、実際に読むと、細かいタッチの重ね付けに彩られた完成度の高い作品だということがよくわかる。警察ミステリとしての捜査プロセスもきちっと段階を踏んでおり、小さな手掛かりが後に大きな結果を生む展開など、謎解きパートも充実している。本作品の根幹にあたるホワイダニットの背景部分も読み応え抜群で、シリーズの持つサイコな世界観との絶妙なコラボはストーリーに奥行きと陰影を与えている。

主人公と相棒のタッグは強固で、パートナーはスピンオフ作品が書けそうなほどの重要扱い。このコンビバランスは珍しい。脇役も魅力的なキャラで固めており、リンカーン・ライムシリーズの捜査チームを想像させるが、ライムと大きく違うのはエンタメ性だろう。

あえて難を挙げるならば着眼点だろうか。本作品はケネディ一家にインスパイアされたように解説してあるが、それはそれで構わない、いかに脚色するかが実力なのだから。ただ、これだけの展開で勝負できるのだから、スタート地点からのオリジナル作品を読みたかったという感想も無視できない。

ディーヴァー、コナリー(未読)、カーリィ──このトリオが元気で書き続けてる間は、海外ミスファンは読書計画で困ることはないだろう。しかし恐ろしくレベルの高い三人だな。
2 Comments
Cozy11.23.2009 URL [edit] 

お、高評価ですね。
推している作家なので、がるさんが高評価だと嬉しいです。

カーソンの冒険小説的な部分は少し粗い感じのストーリーだなぁと感じますが、そんな話も納得させるパワーがあったなぁと思います。

がる@管理人11.23.2009 URL [edit] 

いやー、もうおなかいっぱいですわ。

このシリーズでは冒険パートもアリだなあって思いますよ。
三作目まで順調にきて、これからがシリーズとしての評価を問われるのかな?
次回作はジェレミー兄さん逃亡ですか。。。

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Karma11.23.2009

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