『ザ・ポエット』/マイクル・コナリー

06 04, 2010
45940236304594023649ザ・ポエット〈上〉
ザ・ポエット〈下〉
マイクル・コナリー
扶桑社 1997-10
自己評価:普通

デンヴァー市警察殺人課の刑事ショーン・マカヴォイが変死した。自殺とされた兄の死に疑問を抱いた双子の弟で新聞記者であるジャックは、最近全米各所で同様に殺人課の刑事が変死していることをつきとめる。FBIは謎の連続殺人犯を「詩人」(ザ・ポエット)と名付けた。犯人は、現場にかならず文豪エドガー・アラン・ポオの詩の一節を書き残していたからだ。FBIに同行を許されたジャックは、捜査官たちとともに正体不明の犯人を追う。エドガー賞受賞の鬼才、マイクル・コナリーが犯罪小説の極北に挑む野心作。
本作品はサイコ・スリラー。ボッシュ・シリーズのイメージで読むべきではないと思いつつも、被害者が警官だったり、FBIが捜査に介入してきたりと、意識下からボッシュ・シリーズを払拭することは困難だった。

あまり好きになれない独りよがりの主人公。彼が事件の取っ掛かりを掴むまでが長い。そのイライラも、事件の骨格が浮かび上がると解消された。素敵にサイコで凝っているストーリーは確かに面白い。展開の読めないストーリーテラーぶり、絡まってよじれていく人間関係など、コナリーらしさは見受けられるものの、全体に間延びしていて薄っぺらい印象がある。一介の記者がFBIの捜査チームに入るというような無理矢理押し込んだ苦しい展開がちょいちょい目立つ。

空騒ぎ的言動でジタバタする主人公に振り回され、解決に辿り着くのが遅い。二転三転するラストは充分予測可能。むしろ、どのタイミングでそっちに変調するのだろうと思い読んでいたくらい。クライマックスもどうだろう。内容の詰まったプロセスに比べてあまりに薄味でおざなりではなかろうか。サイコ、謎解き、人物、この三要素の混ざり具合があまりキレイではない。起承転結の「承」と「転」に重点を置いて読むともっと楽しめるのかも。
6 Comments
Harry06.04.2010 URL [edit] 

20年前ほどに初めて読んだ洋書がこの本でした。
確かに新聞記者がFBIの捜査に協力するのって
設定に無理がありますよね。

"Scarecrow"で主人公が
リストラされそうになっているのですが
時の流れを感じました。

がる@管理人06.05.2010 URL [edit] 

ジャックが捜査に加わるくだりって何となく流れで納得してしまうのですが、
よくよく考えたら無謀な展開なんですよね。
必要不可欠ではありますが不自然には変わりないです。

この作品だけかと思ってました(笑
レイチェルは頻繁に出てますね。

Harry06.06.2010 URL [edit] 

ジャック、他の作品もちらりと登場してたり
してた覚えがあります。
でも主人公になって活躍するのは
最近出版された"Scarecrow"が
2作目だと思います。

マイクル・コナリー、登場人物がしばしば
クロスオーバーしたりするので
お菓子のおまけみたいで得した気分になりますね。

がる@管理人06.06.2010 URL [edit] 

"Scarecrow"はレイチェルも出演してるんですよね。
彼女はハリーともいい感じでしたが、その辺はどうなっているんだか。

コナリー自身、キャラクターのクロスオーバーを楽しんで書いてるような印象を受けます。
ハリー・ボッシュとミッキー・ハラーが競演する新シリーズが楽しみだし、“Nine Dragons”も面白そう。

Harry06.07.2010 URL [edit] 

“Nine Dragons”、スケールが大きいのにページ数が少なく、まとまるかな、
と思いましたがうまくまとまっていました。

作品の出来はさておき、
登場人物たちの転機、歴史を感じさせてくれました。

がる@管理人06.07.2010 URL [edit] 

あらすじをざっと読んで、家族がテーマの印象を受けました。
ボッシュ・シリーズでは珍しい展開ですよね。
もう若くないんだから、海を渡っちゃって大丈夫?と危惧するのは野暮なんでしょね。

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