『貴族探偵』/麻耶 雄嵩

06 25, 2010
4087713520貴族探偵
麻耶 雄嵩
集英社 2010-05-26
自己評価:残念

自らは推理をしない貴族探偵登場。推理などという〈雑事〉はすべて、使用人任せ。「趣味」探偵の謎の青年が、生真面目な執事や可愛いメイド、巨漢の運転手などを使い難事件を解決する。知的スリルに満ちた本格ミステリ。麻耶雄嵩5年ぶりの最新刊。

  • 第六位『本格ミステリ・ベスト10』(2011)
執事が推理を披露するシーンは『黒後家蜘蛛の会』を連想させる。やってることは本格なのだが、現実性に乏しく全体的にレトロな印象。探偵の存在意義がよくわからず、どさくさ紛れに捜査に介入する様はもはやアニメの世界。

肝心の中身だが、密室、アリバイなど本格ファンを小躍りさせるテーマなのに、トリックがしょぼすぎて段々悲しくなってきた。目新しいネタは若手に書き散らされ、勝負するスペースがあまりにも狭いので、斜め後ろから無理矢理着地したらやっぱりバランスを崩してしまった、という感じだろうか。一見無難そうに見えるのだが、よくよく考えればアプローチが手荒。でもってトリックのキレは悪く、中には読者を小馬鹿にしたようなご都合主義で締めくくろうとしている作品まである。

推理や謎解きから目を逸らした方が精神衛生上好ましいだろう。本格テイストの人形芝居に過ぎない。これから読もうとする人でイヤな予感がしたら、その予感は当たりである。

4 Comments
Cozy06.27.2010 URL [edit] 

ご無沙汰しております。
『貴族探偵』が出たとき、まだ書いてたんだと思ってしまいました。
摩耶先生好きもイマイチだったって言っていて、大したことない作品なんでしょうね(笑)

がる@管理人06.27.2010 URL [edit] 

「こんなに文章下手だったっけ?」って、最初は感覚を取り戻すのに苦労しました。
『蛍』とか面白かったんだけどなあ。
執事に推理させる探偵って、企画の段階で無理があると思いまーす。

Harry06.29.2010 URL [edit] 

「これから読もうとする人でイヤな予感がしたら、その予感は当たりである。」

これ、同感です。
何度その予感に従わず失敗したことか。

この作品、読まなくて良さそうですね。

がる@管理人06.29.2010 URL [edit] 

読む前から無意識のうちに構えちゃってるのかもしれません。
全部預けて楽にしたらもっと面白く感じるのかもしれませんが…。
でもイヤな予感ってなかなか払拭できないんですよねー

Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
0 Trackbacks
Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS