『兄の殺人者』/D・M・ディヴァイン

07 02, 2010
4488240062兄の殺人者
D・M・ディヴァイン
東京創元社 2010-05-22
自己評価:普通

霧の夜、弁護士事務所の共同経営者である兄オリバーから急にオフィスに呼び戻されたサイモンは、そこで兄の射殺死体を発見する。仕事でも私生活でもトラブルを抱えていたオリバーを殺したのは一体何者か? 警察の捜査に納得できず独自の調査を始めたサイモンは、兄の思わぬ秘密に直面する。英国探偵小説と人間ドラマを融合し、クリスティを感嘆させた伝説的デビュー作、復活。
フーダニットをテーマにした第一級の本格ミステリ。

自然と作中に引き込む手腕はさすがディヴァイン。相変わらず読みやすい筆致で全体の流れもスムーズ。ボリュームも軽めなので一気読みは充分可能。

不安げでどこか頼りない主人公が、謎解きを決意するまでの心境の変化が印象的。かっちり本格の展開を敷きながら、一方では登場人物たちの不穏な人間関係にスポットを当てるなど、サイド・ストーリーも興味深いので退屈することは皆無だった。

読者への挑戦があってもおかしくないほどの教科書通りの展開。時系列部分が若干ややこしいかな? 推理のプロセス、伏線回収、サプライズを含んだ真相まで、上質で無駄のない構成は本当に処女作品かと見紛うほど。クリスティが褒めるのもよくわかる。ただ、オーソドックスすぎるため、それが地味に映るかもしれない。多少の無茶振りでも派手な展開を好む読者には本作品はおとなしすぎるだろう。
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