『折れた竜骨』/米澤 穂信

12 14, 2010
4488017657折れた竜骨
米澤 穂信
東京創元社 2010-11-27
自己評価:残念

ソロン諸島の領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士と、その従士の少年に出会う。騎士はアミーナの父に、暗殺騎士に命を狙われていると告げた。暗殺騎士の魔術に斃れた父、“走狗”候補の八人の容疑者、怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、塔上の牢から消えた不死の青年―そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?

  • 第一位『ミステリが読みたい!』(2012)
  • 第一位『本格ミステリ・ベスト10』(2012)
  • 第二位『このミステリーがすごい!』(2012)
  • 第二位『週刊文春ミステリーベスト10』(2011)
ファンタジーというジャンルを読んだことがないので、このふわっとした異世界に馴染むことが出来ず、単に退屈なだけだった。

ミステリとしても中途半端。 幻想的世界と現実的世界──両極にあるものを中央で融合するのは困難な作業だとは思うが、違和感ばかりが目立ち、謎解き、世界観ともにバランスが崩れてしまってるので、どこに意識を置いて読んだらいいのかわからないのだ。

探偵コンビが型通りの捜査をしてはいるが、魔術の扱いに対するルールがわかりにくく、また島の説明ばかりにページを喰うのも退屈した要因。推理のプロセスを進める上で、つじつまが合わなくなったら魔術を利用してるみたいで、読んでて不快になってきた。

真相もなんかイマイチ。ひとつの謎の答えには立腹している。そういうオチにはしないだろうと一縷の望みを抱いていたのだが…。ファンタジーの経験値がないと楽しむのは難しそう。推理モノとしてもファンタジー色が濃いので悪しからず。
4 Comments
Cozy01.03.2012 URL [edit] 

『ジェノサイド』と1位・2位を争っていたので期待しましたが、個人的な感想では『ジェノサイド』に足下も及ばないと感じた作品でした。

SFにしろ、ファンタジーにしろ、設定ミステリの場合って、どうしても作者のご都合主義的な設定が前面に押し出されてしまって、推理(ロジック)がフェアじゃないところが見えると思うのですが、そこを感じさせないようにいかに世界観を地の文で作り上げるのかが腕の見せ所なんだろうなと思います。

がる@管理人01.04.2012 URL [edit] 

この作品の評価が高いってことは、
昨年の国内本格って不作だったのかなーって思いました。

作者の意欲は買いますが、
どうしてもご都合主義部分が目立ってしまって興醒めでした。
逆に、もっとコテコテのSFファンタジーでもよかったんじゃないかと思えてきたり。

地の文で世界観を作り上げるタイプの作家じゃないのかもですね。

藍色11.08.2013 URL [edit] 

とっても面白かったです。
この作家の作品をかたっぱしから読んでましたが、
3回も繰り返して読んだのは、これだけです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

がる@管理人11.10.2013 URL [edit] 

評価の高い作品ですよね。
特異な設定のお話なので、繰り返して読むとその都度違った世界観を感じるのかもしれませんね。

トラックバックありがとうございます。
お返しさせていただきました。

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2 Trackbacks
粋な提案11.08.2013

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。 自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、「走狗(ミニオン)」候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ...

Karma01.03.2012

「しかし魔法の蛇は死体に魔法の痕跡を残すのです。……まあ、言ってみれば返り血のようなものですな。ただ返り血は殺人者が浴びるのに対し、魔法の痕跡は犠牲者が浴びることになるわけです」 『折れた竜骨...

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