『折れた竜骨』/米澤 穂信
![]() | 折れた竜骨 米澤 穂信 東京創元社 2010-11-27 自己評価: ![]() |
ソロン諸島の領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士と、その従士の少年に出会う。騎士はアミーナの父に、暗殺騎士に命を狙われていると告げた。暗殺騎士の魔術に斃れた父、“走狗”候補の八人の容疑者、怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、塔上の牢から消えた不死の青年―そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
- 第一位『ミステリが読みたい!』(2012)
- 第一位『本格ミステリ・ベスト10』(2012)
- 第二位『このミステリーがすごい!』(2012)
- 第二位『週刊文春ミステリーベスト10』(2011)
ミステリとしても中途半端。 幻想的世界と現実的世界──両極にあるものを中央で融合するのは困難な作業だとは思うが、違和感ばかりが目立ち、謎解き、世界観ともにバランスが崩れてしまってるので、どこに意識を置いて読んだらいいのかわからないのだ。
探偵コンビが型通りの捜査をしてはいるが、魔術の扱いに対するルールがわかりにくく、また島の説明ばかりにページを喰うのも退屈した要因。推理のプロセスを進める上で、つじつまが合わなくなったら魔術を利用してるみたいで、読んでて不快になってきた。
真相もなんかイマイチ。ひとつの謎の答えには立腹している。そういうオチにはしないだろうと一縷の望みを抱いていたのだが…。ファンタジーの経験値がないと楽しむのは難しそう。推理モノとしてもファンタジー色が濃いので悪しからず。