『バウドリーノ』/ウンベルト・エーコ

01 21, 2011
40002442724000244280バウドリーノ(上)
バウドリーノ(下)
ウンベルト・エーコ
岩波書店 2010-11-11
自己評価:普通

『薔薇の名前』で世界の読者を魅了したエーコが、ふたたび中世を舞台に放つ物語。時は十字軍の時代。神聖ローマ皇帝フリードリヒの養子となった農民の子バウドリーノが語りだす数奇な生涯とは。言語の才に恵まれ、語る嘘がことごとく真実となってしまうバウドリーノの、西洋と東洋をまたにかけた冒険が始まる。
知識人・エーコが紡ぎ出す破天荒なピカレスク・ロマン。次々に迫り来るエピソードの羅列に押し潰されそうになる。上巻は皇帝の養子となったバウドリーノの成長を中心に、下巻はバウドリーノと仲間たちの冒険を軸に、それぞれ豊かで伸びのあるストーリーが展開していく。

初めてのエーコだったが、イメージしたような難解さはない。成長、冒険、陰謀、恋愛、そして密室──雑多でいろんな要素から形成されている作品なので、ツボに入ればこの上なく楽しい読書時間になるだろう。そこに史実や伝説を絡ませ、もう少し知識があればもっと楽しめるのに、と思わせるエーコの技量には感服するが、悲しいかなミステリではない。というよりも、ひとつのサブジャンルに限定できるほど単純なストーリーではないというのが正直な感想。途中でキャパを超えてしまったので、こちら側から眺め見るしかなかったのが残念であり悔しいところ。

中盤はダレたが後半で盛り返した。密室の解釈にミステリらしさを感じ、着地点もなるほどと思える感覚が心地いい。ラストへのアプローチも巧い。長い物語だったがそういう形に落ち着くのかと感慨に浸ってしまった。ここへ来てようやく自分と作品との歩幅が合ったような感じ。しかし時代を遡れば遡るほど、人の考えが潔くてかっこいいなあ。
2 Comments
Cozy02.22.2011 URL [edit] 

ハンター生活も落ち着いてきて、読書量が戻ってきました。

エーコは気になってます。
『薔薇の名前』も『フーコーの振り子』も好きなので。
ただ、上下巻のハードカバーというのが気が引けるところです。

がる@管理人02.22.2011 URL [edit] 

今、値段確認しました。
確かに気が引けますね(笑

全然タイプの違う作品、作者なのですが、
読後感が、やまふーの『妖異金瓶梅』に通じるものがありました。

原文は読めませんが、すごく巧いんだろうなあ、っていう印象が強いです。

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