『サトリ』/ドン・ウィンズロウ

05 10, 2011
41520920844152092092サトリ(上)
サトリ(下)
ドン・ウィンズロウ
早川書房 2011-04-21
自己評価:普通

1951年。日本的精神の至高の境地「シブミ」を学んだニコライは、暗殺の依頼を受ける。標的は中国の顧問役のKGB幹部。ニコライは北京に乗り込むが…。伝説の作家トレヴェニアンが遺した冒険小説「シブミ」の前日譚。

  • 第三位『ミステリが読みたい!』(2012)
  • 第七位『このミステリーがすごい!』(2012)
  • 第七位『週刊文春ミステリーベスト10』(2011)
スパイ小説としては大変面白く読める。ページターナーとしてのウィンズロウの安定感は抜群で、展開の速いストーリーから目が離せず、ラストまで一気に突っ走る感覚は流石だと思う。しかし悲しいかな、『シブミ』の世界は蘇らない。ウィンズロウの『サトリ』と認識して読まないと途中で激しく萎える。

『シブミ』のラノベ版とでもいうか、とにかく軽い。また、日本的精神が垣間見えるシーンがない。作中では日本が完全にスルーされているかの如く、おざなりにパラパラとそれらしき要素を撒くだけ。当然、『サトリ』のニュアンスも違ってくる。ニコライのキャラもかなり違和感がある。(『サトリ』を会得した人物が嫉妬するのはどうも解せない)とは言え、両作品とも独立した別モノなので、その都度比較して読む方が間違っているかもしれないが。もちろん、『シブミ』を未読でもなんら支障はない。むしろ未読の方が楽しめるかも。

舞台が変わったり、謀略が網目のように張り巡らされていたりと、ストーリーの拡がりは相当なものだが、奥行きは浅く深みに欠ける。ウィンズロウはスパイ小説も巧いということと、トレヴェニアンの偉大さを再認識した作品だった。 上下巻の必要はないよ、早川さん。
6 Comments
  仁05.11.2011 URL [edit] 

期待とは少し違ったようですね。私期待してるんですけど、忙しくて読めません。

がる@管理人05.12.2011 URL [edit] 

『シブミ』がよかったので、ついつい無意識のうちにハードルを高めに設定してました。
よくある自爆のパターンです(笑
『シブミ』を読了して間がないので、
どうしても別々の作品として捉えられなかったのが残念の原因かな、と。

でもなんだかんだ言ってもスパイミステリとしては秀作ですのでオススメですよ。

 仁05.31.2011 URL [edit] 

やっと昨夜読み終わりました、下巻のカジノ
の場面から一気読み、目黒孝二がスパイ小説
って言ってるけど後半は冒険小説だよね、滝
に落ちるはトンネルに入れば埋まるわで、都合がよすぎるけど、映画で007を見てるみたい。「ストリートキッズ」は軽くスキップして読んだのが、「犬の力」では凄くヘヴィーで驚き、で今作でも人物描写はうまいですね
原著の余白が多いのでしょうか、この余白が
二冊に成ったんですよ。それとこんどtv映画
版であの刑事ヴァレンダーが発売されるそうですヘニングマンケルの。『執念深く犯人を追いつめる」とのキャッチが有るので期待してます。

がる@管理人06.01.2011 URL [edit] 

後半の滝のシーンなんかは『シブミ』に繋げようとしているんでしょうね。
ウィンズロウは『犬の力』からなので、あのヘヴィーさが基準になってしまいました。

余白は多いしフォントは大きいし、『ミレニアム』で味を占めたのか、
無理矢理上下巻にして売る作戦はやめてほしいです(…買わないけど)

ヴァランダーのTVシリーズはイギリスとスウェーデンで放送されています。
イギリス版の主役はケネス・ブラナー。
本国版はすごく渋いおじさまでした。
レンタルになるなら借りてみたいです。

 仁06.01.2011 URL [edit] 

でもミレニアムのほうがもっと面白かったと
記憶してますけど、映画版の1も面白かったけど2と3はね~今『アンダーザドーム」を読もうか迷ってます。

がる@管理人06.02.2011 URL [edit] 

『アンダー・ザ・ドーム』も評判いいですね。
キング初心者向きではない、とのレビューを見て躊躇しています。

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