『砂の城』/鮎川 哲也

06 04, 2011
4334747353砂の城―鬼貫警部事件簿
鮎川 哲也
光文社 2010-02-09
自己評価:普通

早朝の鳥取砂丘に突き出た“足”。マネキンかと思われたその足は女性のものだった。被害者は高校の女性教師、一緒にいたはずの男は失踪していた。容疑者として浮かんだのは、かつて被害者と交際していた画家。しかしその男には鉄壁のアリバイが。捜査は行き詰まり、鬼貫に依頼がきた。
正統派のアリバイトリック。時刻表がばんばん出てくるが、苦手な人でも楽しめる。

手掛かりゼロの状態から、容疑者を絞り込むまでのプロセスが第一段階。ある偽作をめぐり、関係者宅を奔走する刑事たち。ただ話を聞くのではなくて、事件の本質に迫ろうとする姿勢にわくわくする。

第二段階はアリバイ崩し。意外な展開が加わり、ますます容疑者が怪しくなる。もうこれ以上時間の壁を崩せない、という場面で満を持して(?)鬼貫警部登場。固定概念を捨て視点を変えてみる。何もなさそうな証言から手掛かりの糸を手繰り寄せる。そうしないと解決できない緻密なプロットを、さも当たり前のように披露する手腕は正に本格の鬼。

今回は決め手のひとつがやや弱かったのが残念だが、馴染みある土地や駅名が出てきたので、なかなか興味深く読ませてもらった。質がいいと地味さも武器になるのだ。
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