『犯罪』/フェルディナント・フォン・シーラッハ

07 06, 2011
4488013368犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社 2011-06-11
自己評価:傑作

弁護士の「私」が遭遇した11の異様な“犯罪”。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。

  • 第二位『ミステリが読みたい!』(2012)
  • 第二位『このミステリーがすごい!』(2012)
  • 第二位『週刊文春ミステリーベスト10』(2011)
今年の翻訳ミステリを代表する傑作。無駄を削ぎ落とした筆致が特徴的で、余計な情報も作者の思い入れも一切なしに淡々と物語は進む。しかしその極端にシンプルなショート・ストーリーの中に、いかに多くの不穏と狂気が潜んでいることか。

犯罪を選んでしまった人々の心理とその人生が読み手の心を掻き乱し、小さな傷跡となって残る。一話読了ごとにある種のカタストロフィに支配されるが、次が読みたくて仕方ない。

11話全編が秀作で、それぞれに印象もインパクトもまるで違う。どれも好きな話ばかりだが、意識下に烙印を押されたのは、『チェロ』『ハリネズミ』『エチオピアの男』。1話と最終話のチョイスがすごくいいと思う。まさに短編向きの筆致で、いつまでも読んでいられる。不気味なくらい私の好みに合っており、極上の読書時間を味わえた。私が読みたいのはこんなミステリなのだ。
4 Comments
Uco07.06.2011 URL [edit] 

はじめまして。

Booklogからお邪魔しました。
この作品気になってました。
批評家に絶賛されている小説とは昔から相性が良くないので
二の足を踏んでましたが、読んでみる気になりました。

最近マイクル・コナリーとスウェーデンものの面白さに気が付いた初心者なので、
garboさんの批評を参考にさせていただいてます。

がる@管理人07.07.2011 URL [edit] 

Ucoさん、はじめまして。

Booklogからの訪問、ありがとうございます。
いつもまとめて更新してるのですが、さきほど確認したら溜まりに溜まってたので、頑張って更新してきました。

私も読む前はちょっと不安だったのですが、実在の事件を題材にしているという点が見事にビンコでした。(海外の猟奇犯罪とか大好きなもので…)
とりあえず第一話を読んでみてください。
これが合わないと残り十話は合わないかもです。

ボッシュ・シリーズは合間に読破しています。
北欧ミステリは暗さと重さと完成度の高さが好きです。
こちらこそ、よろしくお願いします。

Cozy08.25.2011 URL [edit] 

『ハリネズミ』のように、狡猾な人間の話もありましたが、当たり障りのない普通の人間が犯罪に手を染めてしまう物語を簡潔に描いてますよね。
実際の事件を基にしたノンフィクション的な話だったことと、簡潔な文体が合ってるんでしょうね。

ただ、読後感は「ふ~ん」って感じで、僕には合いませんでした。

がる@管理人08.25.2011 URL [edit] 

イマイチでしたか。

犯罪者になるかならないかは紙一重、っていうテーマがシンプルで、
また淡々と進んでいくところが一層リアルに感じられたんですけどね。

確かに、合う合わないの差が大きい作品だとは思います。

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Karma08.24.2011

彼はそのたびにいう。幸せだ、と。 『犯罪』(フェルディナント・フォン・シーラッハ) pp.218 一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の...

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