『アイアン・ハウス』/ジョン・ハート

02 25, 2012
41517670534151767061アイアン・ハウス(上)
アイアン・ハウス(下)
ジョン・ハート
早川書房 2012-01-25
自己評価:秀作

凄腕の殺し屋マイケルは、エレナの妊娠を機に組織を抜けようと誓った。育ての親であるボスの了承は得たが、その手下たちは足抜けする彼への殺意を隠さない。ボスの死期が近く、その影響力は消えつつあったのだ。エレナの周辺に刺客が迫り、さらには、かつて孤児院で共に育ち、その後生き別れとなっていた弟ジュリアンまでが敵のターゲットに―─。ミステリ界の新帝王が放つ、緊迫のスリラー。
正直評価に困る。上巻は星五つで傑作の予感すらあったのだが、下巻の後半から急降下。そんなこんなで諸々が相殺されて結局こういう評価に落ち着いたのだが…。

今回のテーマは親子ではなく兄弟。いつものハート節は鳴りを潜め、サスペンス色を前面に出したスピードある展開で一気に駆けて行く。端々でのざっくり感はあるものの、ハートのサスペンスもなかなか面白いなと後半に期待してると、急カーブで景色がガラッと変わってくる。

物語としては徐々に破綻してくるのだが、色んな不良箇所をごった煮して、家族というテーマで料理してしまう手腕はあざといのか鮮やかなのか、もう何が何だかよくわからない。ある程度の速度を保ちつつも、それぞれの立場から見た人生観は読み手に充分伝わってくると思う。

過去を乗り越える過程で得たものと失ったもの、そして忘れてきたもの──荒業的な伏線回収でも心に響く余韻は残る。ストーリーを貫く直線はそこに向かっていたんだなと、まあ何となく清清しい終焉ではあった。ハート作の特徴を踏まえた上で読んでほしい秀作。
4 Comments
03.01.2012 URL [edit] 

ドンウインズロウだったらもっとスマートに書けたかな、確かに前半のアクションはカッコ良くえっ殺し屋?驚いたけど、ただ二度ほど何か変な予感がすると、言ってるのは生き残る秘訣か?

がる@管理人03.02.2012 URL [edit] 

殺し屋で始まっても、結局は家族へと帰結していく流れは巧いなと思いました。
ウィンズロウだと抗争のパートがもっと濃そうですね。
この作者の別な一面が期待できそうな作品でした。

Cozy10.13.2014 URL [edit] 

『川は静かに流れ』が少し苦手だったので、手元に置いていたものの、しばらく敬遠していましたが、『アイアン・ハウス』を読んでみると、非常に面白かったです。

殺し屋の抗争からアイアン・ハウス関係者の連続殺人になり、最後のは家族の話とか、なかなか詰め込んでいて、面白かったです。

がる@管理人10.14.2014 URL [edit] 

面白く読めてよかったですー。
家族がテーマのお話でも、『川は~』とは違ったアプローチなので、
作者に対する印象がかなり違って見えますよね。

私はちょっと暗めのお話を期待してるので、
『アイアン・ハウス』は“動”の部分が多くて逆に戸惑ってしまいました。

Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
1 Trackbacks
Karmaなミステリ読書ブログ10.13.2014

疑念だけなら生きていける。 真実を知るほうがよほどつらい。 『アイアン・ハウス(下)』(ジョン・ハート) pp.388 凄腕の殺し屋マイケルは、ガールフレンドのエレナの妊娠を機に、組織を抜けようと誓った。育ての親であるボスの了承は得たが、その手下のギャングたちは足抜けする彼への殺意を隠さない。ボスの死期が近く、その影響力は消えつつあったのだ。エレナの周辺に刺客が迫り、さらに...

Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS