『地層捜査』/佐々木 譲

03 23, 2012
4163811508地層捜査
佐々木 譲
文藝春秋 2012-02
自己評価:普通

公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件。当時の捜査本部はバブル期の土地トラブルに目を向け、元刑事・加納もその線を辿ろうとするが、謹慎明けの刑事・水戸部は、かつて荒木町の芸妓だった老女の「過去」に目を向ける―。
伏線回収型ではなくて、裏向きのカードを一枚ずつめくっていく展開。プロセスは二時間サスペンス並みなのだが、質感と重みがまるで違う。地層捜査とはうまく言ったもので、事件の層を掘り起こす地味な捜査なのだが、退屈させない安定感がある。

地の文は舞台となる町についての描写がほとんどで、事件の手掛かりは関係者や住人たちの会話の中に存在する。この、町と人とのバランスが良く、過去の事件なのに時間差を感じさせない筆運びで、小粒なネタなのにどっしり感がある。

『新参者』を連想させるが、読了後にその違いを実感する。証人の多さに混乱しようと、途中で真相に気付こうと、ラストの情景で言い含められたような。そこに作者の余裕を感じます。
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