『深い疵』/ネレ・ノイハウス

08 09, 2012
4488276059深い疵
ネレ・ノイハウス
東京創元社 2012-06-21
自己評価:

殺害されたユダヤ人は、実はナチスの武装親衛隊員だった。そして第二、第三の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯罪に及んだのは何者なのか。不可解な連続殺人事件に刑事オリバー&ピアが挑む。ドイツでシリーズ累計150万部突破、弩級の傑作。
良質の警察ミステリ。物語の方向性はシンプルなのだが、中身は濃くて、色んな要素が複雑に絡み合っている。根っこの深さに驚愕するなかれ。矢継ぎ早に出てくる人名と地名に混乱しないように。

名門一家、隠された過去、ナチス──陰惨さを予想させるキーワードがベースになっているが、冒頭からの事件が派手に前進することで謎解きとのバランスが保たれおり、想像したような重苦しい雰囲気にはならない。

中盤辺りですでに満腹なのに、そこから更に方向転換をして突っ走るスタミナに翻弄させられた。そして“疵”の意味でクラッシュする。小説と割り切っていても、あの時代だったらアリだったかもと、ナチを知らないだけに想像力だけ逞しくなり、そしてしばし凹む。作中のナチに対して、もう少しこってりしたアプローチがあるのかと期待したが、人物造形のピースとして扱われてるようだった。もう一点残念だったのは、真犯人が判明するプロセス。それまでの捜査はなんだったのか?

本作品はシリーズ三作目。四作目もすでに刊行が決まり、評価次第では一作目から順に訳すとのことだが、前作で何かあっただろうなと思わせる人物間のやりとりが出てくるので、もったいぶらずに順番に読ませて欲しいところではある。今年は警察ミステリの当たり年かな?
4 Comments
08.13.2012 URL [edit] 

登場人物が多すぎ、交通整理できない。最後涙物かな、いやなぜかスーパー婆さんしか思い浮かばない。悪い読者か?

がる@管理人08.14.2012 URL [edit] 

名前で混乱しますよね。
なんせある時点から二倍に増えますから。

スーパー婆さんはスーパーでしたね。
最初に感じた威厳はどこへ?

Cozy12.13.2012 URL [edit] 

ネタ的には巧い内容で、スケール感も十分だったのですが、物語の終盤まで、気持ちが入りませんでした。
警察が介入すれど、連続殺人が起こり続けたのが、無気力さを感じさせてしまったのかなぁ。

がる@管理人12.14.2012 URL [edit] 

警察ミステリの範疇から、スケールがややはみ出た感はありましたね、確かに。

私は、貴族出身の警察官っていうキャラが中途半端だったのが少しイラっとしました。

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Karmaなミステリ読書ブログ12.12.2012

「さて、オリヴァー」ピアはいった。「ではどうかお願いです。あなたの携帯電話を貸してくださいませ」 『深い疵』(ネレ・ノイハウス) pp.507 ホロコーストを生き残り、アメリカ...

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