『64(ロクヨン)』/横山 秀夫

11 08, 2012
416381840564(ロクヨン)
横山 秀夫
文藝春秋 2012-10-26
自己評価:

昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件「64」。長官視察を巡り、刑事部と警務部が全面戦争に突入。その理由とは? 広報・三上は己の真を問われる。究極の警察小説。

  • 第一位『週刊文春ミステリーベスト10』(2012)
  • 第一位『このミステリーがすごい!』(2013)
  • 第二位『ミステリが読みたい!』(2014)
七年ぶりの新作は広報官が主人公。捜査に直接関わらない人物が主人公なんて意外な感じがしたのだが、まさかここまで緊迫した怒涛の展開が繰り広げられるとは。何を書いてもネタバレになりそうで、正直レビューに困る作品ではある。

元刑事の主人公は、いつか古巣に復帰できることを望んでいる。上司と記者との板挟み、刑事部でも警務部でもない自分の居場所、そして重くのしかかる家庭の問題──前半は主人公の葛藤とジレンマがゆっくりゆっくりその領域を拡げてくる。

ロクヨンは早い段階で登場するが、しばらくは物語の底で沈黙している。だがそれが浮上しかけるや存在感は半端なく、作中全体がロクヨン一色に染まる。後半の展開に慌しさを禁じえないのだが、それも終わってみれば必然だったと実感。作者のプロットは容赦のない完璧さ。伏線もキーワードもしっかり存在してるのだが、彼らのドラマに感覚のほとんどを鷲掴みにされていたので、謎解きという目線で読むことは無理だった。

主人公の覚悟を含む、ラストの浄化が素晴らしい。ここから見る景色は格別。こういう瞬間のために読書してるんだなあ、と読後は何度も頷いていた。“警察小説の真髄”──その宣伝文句に偽りはなし。横山秀夫の集大成=警察小説の集大成なのよね。
2 Comments
Cozy01.06.2013 URL [edit] 

『64(ロクヨン)』を読みました。
ランキング各紙で1位となった作品としてのクオリティを感じました。

主人公・広報官三上の男気であったり、刑事魂であったり、広報官としての使命に目覚める成長であったり、主人公の設定が渋く栄えていた作品だと思いました。

一方で、警察内部&マスコミとの調整という地味な仕事がメインだったこと、事件(=ロクヨン)が表に出てくるタイミングが遅いことが確かにロクヨンの扱いは巧いと思いましたが、小説としての楽しさが少なかったかなと感じました。
僕の守備範囲外だったって感じですね。

がる@管理人01.06.2013 URL [edit] 

高評価なようで安心しました(笑

横山作品って、組織の実情や謎解きもいいですが、主人公の成長ぶりも読み応えのひとつだと思います。

ある者は何かを捨てることで成長し、またある者は作中を通して何かを得るというような。
三上の場合は、捨てることによって大きなものを得たように思います。

小説の地味さはリピートしてたらすぐ慣れます(笑

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1 Trackbacks
Karmaなミステリ読書ブログ01.06.2013

この男の下で、もう一度働きたい――。 『64(ロクヨン)』(横山秀夫) pp.517 警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の

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