『崩れた偽装』/鮎川 哲也

12 15, 2012
4334764924崩れた偽装: ベストミステリー短編集
鮎川 哲也
光文社 2012-11-13
自己評価:

総合商社の秘書課長・悪田に突然かかってきた電話。柴崎さよ子と名乗った女は知られたくない過去を握っていた。女を殺害した悪田はとてつもない「アリバイ作り」を思いつく(「あて逃げ」)。老若男女あらゆる主人公たちが思いめぐらす殺人の「偽装工作」。それが崩れるまでの人間模様を鋭く描いた倒叙ミステリの傑作短編集。
動機はほぼ同じだが、アリバイのパターンは各話でがらりと変わる。短編らしく、短い中にもシンプルでキレのいいアリバイばかり。場所や小道具のチョイスなど、さり気に見えてしっかり練ってあるところがいい。完璧に偽装したつもりでも、完全犯罪とはいかない。そんなアリバイ偽装の穴も同時に組み込んであるのが、いかにも本格の鬼って感じ。

アリバイトリックなんて短編で十分だろうと本作品を読んで思ったが、短編そのものが長編より難しいのだから、よくよく考えればアユテツって、ペースメーカー並みの精巧さで読者を引っ張ってくれる物書きさんなのよね。
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