『九尾の猫』/エラリイ・クイーン

03 31, 2013
九尾の猫
エラリイ・クイーン
早川書房 1978-07
自己評価:

手当たり次第に殺人を犯し、ニューヨーク全市を恐怖にたたきこむ連続絞殺魔<猫>。その冷酷な犯行には動機もなく、目撃者もいない。唯一の証拠は、犠牲者の首に結びつけられた凶器の絹紐だけだった。父のクイーン警視をたすけ、この影なき殺人者を追うエラリイ。恐るべき連続殺人をつなぐ鎖の輪を求めて、エラリイと<猫>との息づまる頭脳戦が展開される。
本格というよりは警察小説の色合いが濃い作品。ミッシング・リンクものなのだが、同時に社会的テーマも扱っていて、既読のクイーン作品とはまるで雰囲気が違う。

チームで捜査したり、また気の遠くなるような広範囲から犯人を絞り込んでいく様は正に警察小説の展開。でも推理のプロセスはばりばりの本格。エラリイが見つけた小さな手掛かり。読者でも容易に気付くそのヒントをどのように発展させるのかと思いきや──いや、参った。これだけきれいに繋がるとぐうの音も出ないわ。作家自身がベスト作品と評するのもわかる。

異色の作品なだけに、生粋のファンから見ればそこが違和感だったりするのかもしれないが、クイーンの別の面を堪能できるポイントはそこそこ高いのでは。心理学的な動機づけや、人間描写に重きをおいた展開など、“意外”な要素がすべて面白く感じた秀作。
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