『カルニヴィア 1 禁忌』/ジョナサン・ホルト

10 27, 2013
カルニヴィア 1 禁忌
ジョナサン・ホルト
早川書房 2013-09-05
自己評価:

ヴェネツィアで女性の死体が発見された。死体は祭服を着て、腕には奇妙なタトゥーがあった。憲兵隊の大尉カテリーナは捜査を開始する。その頃、米軍基地に赴任した少尉のホリーは、旧ユーゴ内戦時の記録の公開を求める女性と面会するが、やがてその女性の死を知る。カテリーナとホリーは協力し、ソーシャル・ネットワーク「カルニヴィア」の創設者ダニエーレとともに、二人の女性の死に潜む陰謀に迫る。壮大なミステリ三部作、開幕。
面白かった。一気に読めた。これは良シリーズの予感。個人的偏見だが、ポケミスってもっと個性的な作品が多くなかったかな? 普通に人気の出そうな三部作をポケミスから出すって違和感ありあり。…てなことも考えながらの読書でした。

『ミレニアム』+『ダ・ヴィンチ・コード』という単純な発想ではあるが、前者ほどヴァイオレンス色はなく、後者ほど宗教色も強くない。事実に基づく歴史的背景に支えられた、完成度の高いサスペンス。

この歴史的背景がかなり堪える。北欧の社会問題にも通ずるので、作中では幾度と目にしてきたつもりだが、やり方が卑劣で冷酷。何でもありの内戦のどさくさに乗じて、アイデンティティーの確立に躍起になる権力者たちの醜さが尾を引いて残る。ここの部分だけは何年経ってもどうやっても進歩しないよね。

「カルニヴィア」は斬新で興味深いアイテム。IT系をこうやって取り入れるのは面白い。手書きのメモを探す展開は古くなりそう。キャラクターは様子見かな。敵味方の判断は保留ってことで。基本サスペンスなのだが、重めの背景できちっと締めて、でもエンタメ性もあるからスピードに乗って一気に読ませる。全体のバランスがいいので細かいアラは気にならない。

“次作に続く!”のようなラストではないので、第二部の展開が全く予想できない。続編の刊行時期は不明だが、これは期待できるシリーズ。楽しみがひとつ増えてご機嫌な読後感でした。
4 Comments
10.28.2013 URL [edit] 

ヴェネツアが舞台かと思いきやこんな展開にしてしまうとは、地理的にありだとは思うけど。
次作はどういう風に繋げて行くのか?楽しみですね。

がる@管理人10.30.2013 URL [edit] 

地図が載ってましたが、もっと広域の地図が欲しいなあと思いました。
国同士の位置関係がよくわからなかったです。もっと地理を勉強しておかねば。

どれだけ大きな陰謀が背後に隠れているのか想像できないだけに、続編には期待してしまいます。

Cozy01.13.2014 URL [edit] 

読みました。

僕的には、オカルティックな要素がもっと多い方が好みだったかなと感じました。
歴史的背景をベースにすることなど、重たいテーマを巧く仕上げていると思いますが、カルヴィニアとの関連なども含めて、もう少し巧く構成ができるのではないかなと感じました。

次回以降も追っていきたいと思います。

がる@管理人01.13.2014 URL [edit] 

確かに怪奇趣味的な雰囲気はありますね。
最初の事件がインパクトがあったので、オカルト色を期待するのはわかります。
ヴェネツィアっていう舞台もなんとなくそういう匂いがしますよね。

いい意味でも悪い意味でも、先が読めないシリーズではあるように思います。

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Karmaなミステリ読書ブログ01.13.2014

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