『三秒間の死角』/アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム

12 10, 2013
404101073X4041010748三秒間の死角 上 (角川文庫)
三秒間の死角 下 (角川文庫)
アンデシュ・ルースルンド
&ベリエ・ヘルストレム
角川マガジンズ 2013-10-25
自己評価:

犯罪組織の中枢にまで潜り込んだ潜入捜査員パウラ。組織に与えられた任務は、刑務所内に麻薬密売の拠点を作ることだった。政府上層部のお墨付きを得たパウラは、ライバル業者を蹴落として商売を始めた。だが、パウラの正体を知らないまま、殺人事件を捜査するグレーンス警部の追及の手が迫るのを知った政府上層部は非情な決断を下す…。
  • 第十位『ミステリが読みたい!』(2015)
面白かった──この一言に尽きる。

アクション性を伴ったスピード感に引っ張られ、どんどんページを繰ってしまう。先の読めない展開はいつも通り。意味不明な不安感は付きまとうものの、心地よい緊迫感が漂っているので、どういう着地でも受け入れてやるぞという覚悟(?)で読み進めていた。

とは言っても、やはり北欧ミステリ──ただのスパイ・アクションであるはずがない。パウラとグレーンス警部の追い詰められた心理が重低音となって、ストーリーを常に引き締めている。ふたりとも、最愛の人物との関係に苦悩しながら、ギリギリのところで任務に忠実であろうとするが、崩壊とは紙一重の危うさがある。彼らの互いの距離感が興味深く、警察・スパイ小説を縦糸に、ふたりの見えざる心理の結びつきを横糸に紡ぐ展開には脱帽。

映像としてイメージしやすいシーンが多いので、一見すると派手な印象に見えがちだが、終わってみると、国内情勢にメスを入れた、このシリーズ独特の社会性が色濃く残る。潜入捜査員や刑務所内での麻薬売買など、作中の多くの状況が実は現実に起こっているのだということに恐ろしくなり、また腹立たしく思う。

少し早いXmasプレゼントかな? 読み手としての願望が全て叶えられたプロットに大満足。これだから北欧ミステリは止められない。今年一番の収穫本。これを読まずに年は越せません。
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Karmaなミステリ読書ブログ06.24.2014

「運び屋。死体。ポーランド人」 エーヴェルト・グレーンスは、これから二階分上がることになる長い階段の下で立ち止まり、ふたりの部下を見つめた。 「つまりは、クスリ、暴力、東欧、ってことか」 『三秒間の死角(上)』(アンデルシュ・ルースルンンド&ベリエ・ヘルストレム)pp.93 犯罪組織の中枢にまで潜り込んだ密裏に政府上層部のお墨付きを得たパウラは、巧妙な手段で麻薬を所内に持...

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