『交霊』/ラーシュ・ケプレル

03 09, 2014
交霊 〔上〕
交霊 〔下〕
ラーシュ・ケプレル
早川書房 2013-12-06
自己評価:

少女の死体はベッドに横たわっていた。顔のほとんどがなくなっていて、ほとばしった血が部屋中を赤く染めている。問題を抱えた少女たちのための自立支援ホームで、収容されていた少女が惨殺される事件が発生した。やがて収容者の一人ヴィッキーが姿を消していることが判明し、捜査に加わったヨーナ・リンナ警部は、彼女の行方を追うが…。スリリングな追跡劇、不気味な怪現象、意表を衝く真相。全世界が注目した覆面作家が放つ大作。
シリーズ第三弾。前作前々作のレビューを読み返してみると、ひねりがないのにそこそこ読めるとか、主人公は空気と化しているなどの戯言を並べ立てているが、それを考慮すると、三作目で完成度が増したのではなかろうか。

死体の状態や霊媒キャラなどのオカルト要素が、ストーリーをよりミステリアスに着色している。先の見えない事件は興味深いが、冗長な展開なのでスピードに乗っていけない。それでもさくさく読めるのは、視点の切替えが巧みだからかな。複数のエピソードを織り交ぜることによって、読者をいい意味で翻弄している感じ。

下巻に入ると一転する。二転三転する展開に、後半はスリラー色も濃くなり、地味な上巻とは対照的に、徐々に派手さを帯びてくる。タイトルの意味は別角度で見ると意味深で、実はそこに重要キーが隠されていたというのは、予想出来そうで予想外だったりする。ひとつ余計な事件があるように思えたが、こういう構成の出来る作家だったっけ?と嬉しい発見。

終盤で急に主人公の過去がクローズ・アップされ、しかもなかなかヘヴィーだったという設定に軽い眩暈を覚えた。このネタを今後どう扱うのか、興味の対象が増えたのが収穫でした。
0 Comments
Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
0 Trackbacks
Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS