『大聖堂』/ケン・フォレット

04 05, 2014
大聖堂 (上)
大聖堂 (中)
大聖堂 (下)
ケン・フォレット
ソフトバンク文庫
自己評価:

12世紀のイングランド。放浪の建築職人トムは、キングズブリッジ修道院長から命じられ、本格的に大聖堂の再建に乗りだす。が、キングズブリッジの繁栄をねたむ男が焼き討ちを仕掛ける……。トムの死後、大聖堂再建を引き継いだ息子のアルフレッドだが、大聖堂が崩壊してしまう。そこへ、ヨーロッパを放浪して修行中だったトムの弟子のジャックが帰還し、大聖堂に新たな光が……。大聖堂復活をめぐる波瀾万丈の大ロマン小説。
以前からケン・フォレットには興味があったのだが、なかなか機会に恵まれず。今回、新作の谷間でタイミングが合ったので、ようやく読書と相成った。中世イングランドの無政府状態という混沌とした時代に、大聖堂建立を目指す人々の一大抒情詩。

上中下というボリュームに加えて、中身が濃い! 親子、夫婦、恋人、師弟やライバルなどのクレイジーな人間関係に絡むように、陰謀、謀略、殺人、破壊、権力闘争に復讐劇などのこてこてのプロットが幾重にも重なってストーリーを肉付けしている。ドラマに目が行くかと思いきや、大聖堂建設にまつわる現場の息遣いや、信仰に対する独自のスタンスなど、ディテールが細かく、内幕モノとしても読める部分が土台を支えているので、全体的にバランスがいい。

ストーリーは潔く展開し、キャラクター造形もわかりやすい。長い物語ではあるが、大まかな流れは、敵対グループの非情な策略を経て、村と人々が着実に成長していくというもの。登場人物の環境や立場がその都度変化するので、同じパターンの繰り返しという感覚はない。これだけの物語を読まされると、読者も登場人物のひとりなのかなあ、という気もする。キングズブリッジの中に溶け込み、住民と同じ不安や希望を感じる。ある人物には共感し、またある人物には殺意すら抱く(笑)

謎解きだトリックだ、という作品もいいけど、時折こういう大河ドラマに身を任せてどっぷり浸りたいと願うのは年をとった証拠かしら。早いうちに続編を読むぞ。
2 Comments
 仁04.06.2014 URL [edit] 

 この作品すごく面白いですよね。読み易く
 作品の良さも在るでしょうが訳者の腕に依るんじゃないでしょうか、今は亡きベテラン矢野先生の訳文、新潮文庫からのムーブオーバーのこの本 3冊を1週間で飛ぶ様に読んでたのを
思い出しますが続編読むぞ---から3年。
読むのが恐い、人には薦めますが。


がる@管理人04.07.2014 URL [edit] 

最新刊の『凍てつく世界』が面白そうだったので、予習を兼ねての読書でした。
有名な翻訳家さんだったんですね。
作品の雰囲気に合ってる文章だったので、余計にその世界観を堪能できた気がします。

『大聖堂─果てしなき世界』は近いうちにTRYしたいですが、
その他の作品はまた時間を置いてから読もうかなと。
ボリューム、内容ともに、気力・体力を要する作品ですので(笑

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