『凍氷』/ジェイムズ・トンプソン

04 13, 2014
凍氷
ジェイムズ・トンプソン
集英社 2014-02-20
自己評価:

歴史の極秘調査ともみ消しの指令を受けたカリ・ヴァーラ警部。ヘルシンキで起きたロシア人富豪妻の拷問死事件の捜査においても警察上層部から圧力がかかる。さらにカリを襲うのは原因不明の頭痛。激痛に耐えながら挑んだその結末とは? 好評極寒ミステリ第2弾。
  • 第八位『ミステリが読みたい!』(2015)
前作ほどの極寒は感じられず。作中で前作事件についてちょいちょい触れられているので、既読の上で本作品を読んだ方がいいと思われます。

現実主義的な風合いの多い北欧ミステリの中では、このシリーズは派手で突飛で強引。二作目にしてその要素はパワーアップ。インモラルな事件に、自らのルーツにまつわる歴史の暗部、さらに問題多き義弟妹に振り回されたりと、どれがメインでどれがサイドかわからないようなストーリーが複数立てで進行していくので、主人公以上に読み手もかなり翻弄される。

ベースは家族の物語。だからそこに帰結していくのだけど、拡げた風呂敷が一気に回収されるから、慌しさだけが残る。終盤の展開はまさにドタバタで、決着してよかったねという印象はなく、二本立て三本立ての映画を観ていたんだなと、混乱の中でぼんやり思っていた。

捜査官としての今後、夫、父親としての今後が気になるラストで締めくくられているので、多分次作も読むでしょう。北欧ミステリの中ではちょっと異質なシリーズになりそう。

4 Comments
Cozy12.31.2014 URL [edit] 

手元にはあったものの、なかなか手を出せず、ランキング誌で評判が良かったので、読んでみましたが、好きでした!

周辺の北欧ミステリとは路線が全く違いますよね。
少しエロい(卑猥)で、クセのある物語なのですが、作品全体を見ると、フィンランドの寒さと卑猥さと主人公の倫理観が、とても巧く融合していると思います。

がる@管理人12.31.2014 URL [edit] 

北欧ミステリなんだけど、作者がアメリカ人なので、
そういう意味でのやや派手な展開が印象に残る作品でした。

追いかけたいシリーズでしたが、作者急逝により、
『白の迷路』が遺作になってしまいましたね。残念です。

Cozy12.31.2014 URL [edit] 

作者急逝なんですね。
とっても残念。

早速、『白い迷路』を購入しました。

がる@管理人01.02.2015 URL [edit] 

8月に不慮の事故で亡くなったそうです。
残念ですよね。
『白い迷路』の他にもう一作あるみたいですが…。

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Karmaなミステリ読書ブログ12.31.2014

わが故郷、フィンランド。地獄の底に当たる第九の圏谷。悪魔(ルシファー)の涙はその翼の羽ばたきで氷に変わり、血と罪の凍てつく湖となる。俺は足を引きずって中に戻った。この寒さでは悪い膝がこわばり、左足は引きずる重荷でしかない。 『凍氷』(ジェイムズ・トンプソン) pp.7 フィンランドはユダヤ人虐殺に加担したか―歴史の極秘調査ともみ消しの指令を受けたカリ・ヴァーラ警部。ヘルシンキ...

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