『声』/アーナルデュル・インドリダソン

08 20, 2015

アーナルデュル・インドリダソン
東京創元社 2015-07-29
自己評価:

サンタクロースの扮装でめった刺しにされた男。一人の男の栄光、悲劇、転落、そして死。世界でシリーズ累計1000万部突破。世界を驚愕させた『湿地』『緑衣の女』に続く第三弾。
  • 第二位『ミステリが読みたい!』(2016)
  • 第四位『週刊文春ミステリーベスト10』(2015)
  • 第五位『このミステリーがすごい!』(2016)
過去二作同様「家族」がテーマ。重めの展開なのに、三作目ともなると免疫ができたのか、ほどほどのページ数も相まってさくさく淡々と読めてしまった。前二作ほどではないが、吸引力と完成度の高さはハイレベル。

クリスマス・シ-ズンという設定が作品全体の雰囲気として横たわり、その華やかさをあざ笑うように、男の死を発端にした家族の暗いドラマがじわじわと拡がる。男の正体と事件の動機──膠着状態の捜査を進めるべく強引に掘り起こした過去に、それぞれの醜く悲しい心の闇が絡まり、事件は一層混迷してくる。警察ミステリとしてちゃんと前進してるんだなという確かな感覚があるので、安心して読めるのが嬉しい。

本編とは無関係の事件やエーレンデュルのトラウマなど、同時に展開していくのも、テーマをより鮮明にさせるためかな。必須とは思えなかったけど。もう少し謎解きに重きを置いてくれると嬉しいけど、この感じじゃ無理っぽい。
2 Comments
Cozy12.31.2015 URL [edit] 

本作の印象についても、がるさんと似た感じかな。
メインとなるドアマンの殺人事件については、刑事さんの地道な捜査によって、バランス良く紐解いてるなと感じましたが、それ以上の評価にはならず。

無関係な事件やエーレンデュルのトラウマは、今回の家族というテーマ性を出すためでしょうね。

がる@管理人12.31.2015 URL [edit] 

前二作がよかったので完全にハードルが上がりましたね。
なので、平凡な評価に落ち着くのは仕方ないのかなーと納得させつつも、
性懲りもなく次回作に期待している自分がいます。

エーレンデュルの苦悩はいつまで続くんでしょ。私だったら耐えられないわ。

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Karmaなミステリ読書ブログ12.31.2015

そして彼は歌いはじめた。父親が天使の歌声と呼ぶ、透き通った美しい声で。 『声』(アーナルデュル・インドリダソン) pp.8 クリスマスシーズンで賑わうホテルの地下室で、一人の男が殺された。ホテルのドアマンだという地味で孤独な男は、サンタクロースの扮装のままめった刺しにされていた。捜査官エーレンデュルは捜査を進めるうちに、被害者の驚愕の過去を知る。一人の男の栄光、悲劇、転落、そ...

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