『彼女のいない飛行機』/ミシェル・ビュッシ

10 12, 2015
彼女のいない飛行機
ミシェル・ビュッシ
集英社 2015-08-20
自己評価:

飛行機事故で唯一生き残った少女は誰の子なのか。少女を取り合う二つの家族、そして真相を追う私立探偵を巡って事件は錯綜をきわめていく…。フランス・ミステリ界の新たな金字塔が登場。
  • 第九位『このミステリーがすごい!』(2016)
最近話題のフレンチ・ミステリ。この作品も例に漏れず、一筋縄ではいかないお話でした。

十八年に渡る調査を依頼された私立探偵は、契約が切れる前夜に自らの命を絶とうとするが、事故を報じた当時の新聞を読み返して驚愕する。その探偵から調査ノートを受け取った「リリー」は、兄のマルクにノートを渡して姿を消す──こんな意味深なスタートで、600頁を超すボリュームもさくさく読めてしまった。

物語は、探偵の調査の記録ノートと、妹の行方を捜す兄の追跡が同時進行で展開していく。最大の謎は、生き残った「リリー」がどちらの家族の子なのか? というところにあるが、進むうちに死体は増えるわ、謎は深まるわで、徐々に混迷していく。手掛かりとなる探偵のノートがこれまた実に思わせぶりなので、吸引力は落ちるどころかどんどん強くなっていく。

マルクが二十歳ってこともあって、全体的に危なっかしい雰囲気に満ちている。先が見えそうで見えない不穏な空気に窒息しそうになるけど、結末の感覚は、“予想通り”と“予想外”。フランス人ってもっとドライなのかと思い込んでました。そして無駄な死体が多い。破天荒なマルヴィナはいいキャラ。あとがきで触れた、「『リスベット』を彷彿とさせる」には、首を傾げながらもそうかもしれんねー。
2 Comments
Cozy01.23.2016 URL [edit] 

読みました-。

この作品って、冷静に思いかえすと実はたいしたことないオチだよなと感じつつも、ネタまでの構成はなんか良くできてるのかもしれないとも感じました。
僕は好きでした。

でも、600ページ越えは長いかな。

がる@管理人01.25.2016 URL [edit] 

フツーのオチをフツーに読ませないのがフレンチ・ミステリの醍醐味かもしれませんね。
綿密に練られた変化球に余裕さえ感じます。

もう少し短くてもよかったけど、私は長さはあまり気になりませんでした。

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Karmaなミステリ読書ブログ01.24.2016

――これを読めばすべてがわかる。 『彼女のいない飛行機』(ミシェル・ビュッシ) pp.12 1980年12月、イスタンブール発パリ行きのエアバスが墜落。ただ一人、生後間もない女の子が生存していた。同機には身体的特徴が著しく似た二人の赤ん坊が乗っており、どちらの両親も事故死していた。DNA鑑定のない時代、二組の家族が女の子は自分たちのものだと主張する。そして謎を追うべく雇われた...

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