『悲しみのイレーヌ』/ピエール・ルメートル

11 08, 2015
悲しみのイレーヌ
ピエール・ルメートル
文藝春秋 2015-10-09
自己評価:

連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。事件は異様な見立て殺人だと判明。掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。
  • 第一位『週刊文春ミステリーベスト10』(2015)
  • 第二位『このミステリーがすごい!』(2016)
  • 第五位『ミステリが読みたい!』(2017)
  • 第七位『本格ミステリ・ベスト10』(2016)
『その女アレックス』で活躍したカミーユ・ヴェルーヴェン警部が登場するデビュー作。評価はやや甘めの星四つ。

アレックス既読者にとっては、登場人物がネタバレそのものになっているのだが、それでも面白い。二部構成の一部目が警察ミステリの王道のような展開で、犯行の異様さとチームワークの良さがそれに加わって、中断不可能なくらいハマってしまった。

見立て殺人だと判明してから事件は急展開するが、この元ネタにミステリファンならニヤニヤするのではなかろうか。そこまでほぼ完璧だっただけに、“掟破りの大逆転”には驚いた。いろいろ意見があると思うけど、私はマイナス評価に傾いた。破壊力はあるけど粗っぽいので、困惑した感が強い。こういう爆弾の処理は日本人作家の方が巧いようにも思えるが…。

なぜ次作のアレックスの方を先に刊行したんだと不満に思ったりしたけど、読後を考えるとアレックスが先で良かったのかなと。でもやっぱり凄い作者です。フレンチ・ミステリ、ブラボー。余談ですが、久々に犯人を当てられました☆
2 Comments
Cozy12.30.2015 URL [edit] 

全体的な印象は、がるさんの印象と全く同じですね。
序盤から終盤までの展開は読み応えがあって、非常に面白いけれど、最後のイレーヌのところは少し残酷すぎたかな。
そこまでやれるのが、フィクションであり、フレンチ・ミステリなのかもしれませんが。

がる@管理人12.31.2015 URL [edit] 

ラストは残酷ですよね。
でも事件そのものが猟奇的なので、残酷さに慣れてしまったのか、
こういうラストもアリかなと思ってしまいました。
むしろ、サプライズが唐突でフェアじゃないことに納得がいかなかったなあ。

ティリエもそうですが、フランス作家って主人公に厳しくないですか? 
みんなドSなの??

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Karmaなミステリ読書ブログ12.30.2015

そしてカミーユはある一冊の本の天に指をかけ、手前に倒した。その花は、そう、ダリアだ。しかも赤じゃない。ブラック・ダリア。 カミーユはソファーに身を投げ、手にした本を見つめた。表紙は黒髪の若い女で、髪型のせいだろうか五〇年代のポートレート風に見える。奥付を見ると、一九八七年。 『悲しみのイレーヌ』(ピエール・ルメートル) pp.120 『その女アレックス』の刑事たちのデビュー...

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