『アーサーとジョージ』/ジュリアン・バーンズ

02 28, 2016
アーサーとジョージ
ジュリアン・バーンズ
中央公論新社 2016-01-22
自己評価:

アーサー・コナン・ドイルは、医師から作家に転じシャーロック・ホームズを生んだ時代の寵児。ジョージ・エイダルジは、司祭館に育った生真面目な事務弁護士。活力溢れるアーサーと、実直さが取り柄のジョージ、異なる世界に生きてきた二人が出会うのは1906年のこと。連続家畜殺しの罪を着せられたジョージの嘆願に応じたアーサーは、ホームズばりの観察力で潔白を直感し、真相究明に乗り出す。
ジュリアン・バーンズは『終わりの感覚』で衝撃を受けたので、次回作が刊行されれば読みたいとずっと思っていた。帯には“ヒストリーにしてミステリー”とあるが、確かにミステリーの雰囲気をまとってはいるものの、ほとんどがヒストリー。実在した人物による実際に起きた事件のお話なので、ヒストリー目線で読むのが好ましいのでしょう。

2段組で約500頁なので相当のボリュームだが、さくさく読める。秀でた訳のおかげでもあるが、それでも簡潔で明瞭な筆致は相変わらず。タイトル通り、前半はそれぞれの人生が交互に描かれる。ふたりの出会いは中盤以降。それまでに多くのドラマが起きているので、読み手としてはアーサーとジョージにいろんな想いを乗っけてしまっている。そこからの真相究明なので、コナン・“ホームズ”・ドイルの捜査シーンは、チームの一員のような気持ちで無駄に緊張しながら読んでいた。そして意外とがっつり推理していたので驚き。

史実なんだけれども、そこを、こうあったかも知れないと思わせる作者の手腕にきりきり舞い。事件後のふたりの人生も感慨深い。読後、ウィキペディアで再確認したらたちまち現実に引き戻された。実際のドラマは作中のようだったと思いたい。
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