『我が名は切り裂きジャック』/スティーヴン・ハンター

07 02, 2016
我が名は切り裂きジャック(上)
我が名は切り裂きジャック(下)
スティーヴン・ハンター
扶桑社 2016-04-30
自己評価:

1888年8月31日、ロンドンのホワイトチャペル地区イーストエンド。弦月の夜、男は誘い込んだ娼婦の喉を切り裂き、腹をえぐり、内臓を引き出した。夕刊紙の記者ジェブは音声学の碩学デア教授のプロファイリングによって浮かび上がった犯人像をもとに、 容疑者を絞りこみ調査を続行するが、やがて事件は思いもかけない展開を見せて…。巨匠が満を持して挑んだヴィクトリアン・ミステリーの最高峰、ここに登場。
犯罪史上最悪にして最も有名な未解決の猟奇殺人。なんでまた切り裂きジャックなの?という疑問がまず最初にあったが、巻末の参考文献リストを見ると、作者のリサーチに費やした想いが見て取れる。

ストーリーは、犯人の日記と記者の回顧録を交互に並べる形で展開する。上巻はスローペース。五人目の被害者以降に動き出すが、当時の時代背景や、記者としての葛藤などにページを割いてあるようで、謎解きよりもその世界観の方が印象に残った。正直、新犯人の解釈よりも時代考証の緻密さに脱帽した感じ。

そして肝心の新犯人だが、あやふやに終わらせるのではなく、はっきりと断定している。今まで語られてきた数多くの犯人像とは明らかに異なる。そこに至る推理のプロセスも自然で違和感ないのだが、作者流のアレンジが加わっているため、やはりどこまでいっても小説の中における新解釈という感は拭えない。ま、フィクションなんだから当たり前か。切り裂きジャック関連の先入観はなしに、でも「小説」だという前提で読んでほしい作品です。

最後に野暮だけど言わせて。やっぱりハンターはガンアクションがないとつまんねーわ。
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