『背信の都』/ジェイムズ・エルロイ

07 16, 2016
背信の都 上
背信の都 下
ジェイムズ・エルロイ
文藝春秋 2016-05-28
自己評価:

真珠湾攻撃前夜、LAで日系人一家が惨殺された。彼らはスパイだったのか。人種偏見が渦巻く中、鑑識官アシダ・ヒデオは単身、真実を追う。ジャップ殺しの罪はジャップに着せろ。燃え上がる人種差別。戦争の恐怖と狂躁。そこから利をむさぼろうとするやつらがいる。その中で正義を追求する者たちがいる―─これぞエルロイ、これぞ警察小説。
  • 第七位『ミステリが読みたい!』(2017)
本書は、〈暗黒のL.A.四部作〉〈アンダーワールドU.S.A.三部作〉に続く、〈新・暗黒のL.A.四部作〉の一作目として構想されているらしい。時系列的には『ブラック・ダリア』よりも前になる。原題の由来は“裏切り”の意味を持つジャズのスタンダード・ナンバー。

〈アンダーワールドU.S.A.三部作〉は既読。〈暗黒のL.A.四部作〉は『ブラック・ダリア』のみ既読で、『LAコンフィデンシャル』を映画で観ただけ。いずれは読んでみたいと思っていたので、一連のシリーズのスタートとなる本書はいいタイミングなかと思ってトライしてみたが、ひどく混乱して異常に疲れてしまった。

物語は、複数の視点が入れ替わるように進む。登場人物が徐々に増え、それに比例して作中の情報量も膨大なものになってくる。日系人殺人事件という軸はあるものの、実在の人物も含めた個性豊かなキャラクターたちが、己の欲望と運命を秤にかけながら右往左往する様に揺さぶられ続け、途中からいろいろ見失ってしまった。なんだろう、そういうのもひっくるめて、エルロイを堪能できるような経験値がなかったってことか。

面白いのは面白いんだけど、この狂気じみた世界観に若干怖気付いてる自分がいた。この腹黒さ、この暗黒さを咀嚼できるようになるにはあと何冊必要かしら。
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