『わずか一しずくの血』/連城 三紀彦

10 18, 2016
わずか一しずくの血
連城 三紀彦
文藝春秋 2016-09-15
自己評価:

一年以上前に失踪した妻から、突然かかってきた電話。「自分が出ているから」と指示されテレビをつけると、そこには白骨化した左脚が発見されたというニュースが流れていた。妻は生きているのか? 壮大なスケールで繰り広げられる超絶ミステリー。
本作は20年前に連載されたものの、単行本化に至らなかった幻の作品だそうな。

良くも悪くも一筋縄ではいかないお話。前半と後半で作中の趣が大きく異なる。前半は男女の愛憎劇。と言っても、ドロドロしたチープなものではなく、連城節炸裂の艶のある官能描写がストーリーを彩る。倒錯した謎と欲望を交互に突きつけられ、情念の迷宮をひたすら歩かされる。後半、刑事が介入することによってミステリ色が濃くなるが、ある繋がりに手繰り寄せられた人物の動きが軸となり、社会的背景も浮かんできた事件はさらに混迷を極めていく。視点が入れ替わったり、時間軸が前後したりと、先が読めないどころか、物語の輪郭させも容易につかめない。

とまあ、ここまではよかったのだが、種明かしは釈然としなかった。説得力に欠けるようで、違和感ありあり。ミステリ的には面白いことをやっているのだが、動機にこじつけを感じてしまい、モヤモヤしたまま終わってしまった。大風呂敷を拡げたストーリーの収束としてはらしくない。詰め込みすぎたのかな? でも、猟奇と官能のカードを巧みに使い分ける手腕は素晴らしい。これって表裏一体なのよね。
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