『謀略の都』/ロバート・ゴダード

02 19, 2017
謀略の都(上) 1919年三部作①
謀略の都(下) 1919年三部作①
ロバート・ゴダード
講談社 2017-01-13
自己評価:

1919年春。講和条約締結のため各国代表団がパリで協議を進めるなか、英国の外交官が謎の死を遂げた。元空軍パイロットの次男マックスは父の知人らの協力を得て解明を進めるが、ドイツのスパイ網指揮者の存在が浮上してほどなく、命の危険に晒されてしまう。第一次大戦後の混沌を生きるスパイ小説新シリーズ、いよいよ開幕。
ゴダード初の三部作は、彼が重要な分岐点と見る第一次世界大戦後のパリが舞台で、クラシカルな群像劇とも呼べる内容。これまでの単発作品と同等のボリュームがあり、各巻が連続した形で完結に至る。

刑事や探偵ではなく、ごく一般人が巻き込まれる形でストーリーが展開する定型と同じく、本作品でも素人の主人公が父の死の謎に導かれて謀略の世界に足を踏み入れることになる。古風な密偵術や社交場の駆け引きがページを行き交い、多彩にして多数の登場人物も加わって作中の情報量は一気に膨れ上がるが、この混乱に身を任せるのもゴダード作品の醍醐味のひとつ。

とは言え、若い主人公やスピーディーな展開など、ゴダードっぽさから逸脱した感は否めない。エンタメ性の濃いお話ながら、魅力的な脇役キャラの描き方、また彼らと主人公の距離感の変化にゴダード節がちらちらと窺えるのが安心材料かな。

でもなんだかんだで面白かった。スパイ小説と併せて家族間の軋轢も描きながら、でも背景となる場所や出来事の描写は正確で史実に改変は加えられていない。このバランスのよさが名手と言われる所以なのかしら。

読み始めてしまったのだから最後まで行くしかない。続編までに頭の中を整理しとこ。
0 Comments
Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
0 Trackbacks
Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS