『失踪者』/シャルロッテ・リンク

05 10, 2017
失踪者〈上〉 (創元推理文庫)
失踪者〈下〉 (創元推理文庫)
シャルロッテ・リンク
東京創元社 2017-01-28
自己評価:

イングランドの田舎町に住むエレインは、幼馴染みのロザンナの結婚式に招待へと出発したが、空港で足止めされ、親切な弁護士の家に一泊したのを最後に失踪した。結婚後、仕事から離れていたロザンナは事件の取材を始める。弁護士は何か知っているのか? 彼女は自発的に姿を消したのか? ロザンナは調査に深入りしていく。そしてエレイン生存の情報が……。
ストーリーとしては非常にシンプル。元ジャーナリストの女性が、5年前の失踪事件を取材するというもの。幼馴染が失踪したのは自分の結婚式に出席する道中だったため、主人公はある種の責任を感じながらの取材となる。

複雑なトリックも、凄惨な描写も、奇抜な設定もなく、日常生活がそのまま事件につながっていく展開にも関わらず、ページを繰る手が止まらない。その要因は巧みな人物造形だと思う。主人公に関わらず、「モヤモヤ」を抱えたキャラクターが次々登場するのだが、彼らの描写は表層的に終わらず、人間の持つ多面性、迷いなどが重層的に描き出されるので、どうにもこうにも目が離せない。ドイツで売れっ子作家というのも納得。普遍的なずるさや弱さが巧いという点では、宮部みゆきと似たタイプなのかもしれない。

二転三転する巧みなストーリーテリングと丁寧な心理描写で、物語に説得力と厚みが出ているが、ミステリとしては弱いかも。期待していただけに、若干の強引さが目立ってしまいただただ残念でした。謎解きは二の次で、人物に注目して読むならば、久々に期待できる作家を見つけたなー、という感じ。
0 Comments
Leave a comment
管理者にだけ表示を許可する
OK?
0 Trackbacks
Top
CATEGORY
TAG CLOUD
COMMENTS
TRACKBACKS
TRACKBACK PEOPLE
LINKS