『13・67』/陳 浩基

11 12, 2017
13・67
陳 浩基
文藝春秋 2017-09-30
自己評価:

2013年から1967年へ香港警察の名刑事の人生を遡り、権力者と民衆の相克、香港という存在が孕む矛盾を描く華文ミステリー。
  • 第一位『週刊文春ミステリーベスト10』(2017)
  • 第一位『本格ミステリ・ベスト10』(2018)
  • 第二位『このミステリーがすごい!』(2018)
2013年から1967年へと遡行しながら、6つのエピソードによって語られる「天眼」と呼ばれたひとりの警察官の生涯を描く連作短編集。

警察ミステリの雰囲気をまといながらも、中身は本格ミステリというやや変わり種。このスタイルは作者の試みで、6つの独立した中編の「本格」を描くことでその謎解きを強調し、同時に6つの物語をつなげばそこに完全な社会の縮図が見えてくるというのが狙いらしい。

作中で人間ドラマを描きながらも、後半は論理的な展開になるので、そこが新鮮でもあり違和感でもあり。横山秀夫の作品に近いものがあるが、それよりもっと冗舌な感じ。

本格ミステリの技巧によって明らかにされていくのは、返還の前後において変貌を遂げていく香港の姿そのもの。香港の警察官はどうあるべきかというテーマがドラマの背後に響いており、香港警察の内幕が事件の真相に大きく絡んでくる。これはまさに香港出身の作者でしか書けない話だと思う。

最終話を読み終えた後の余韻はなかなか。年代順に再読したい気分にさせられるところが作者の術中にハマったってことかな。
2 Comments
Cozy02.12.2018 URL [edit] 

がるさんの感想を読むと、高評価に感じるのに、三ツ星なんですね。

香港の激動の歴史(イギリス統治~中国返還~現在)が背景にあるのは、なかなかよかったですが、個々の物語は少しこじんまりとした謎解きだったと感じました。

がる@管理人02.15.2018 URL [edit] 

面白かったのですが、四つ星五つ星まではいかないかなと。

こじんまりした謎解きもそうですが、丁寧すぎる運びが逆に物足りないと言うか、厚みに欠ける印象を持ってしまいました。

横山秀夫じゃないですけど、もう少しシンプルに、行間を読ませるくらいのどっしりした筆致でもよかったのかな~と思います。

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Karmaなミステリ読書ブログ02.12.2018

「『はい』と『いいえ』しか示せないのに? どうやって事件を解決するの?」 『13・67』(陳 浩基) pp.19 華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸! 現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリ...

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